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ドリーム・ホームのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ドリーム・ホーム(2010年製作の映画)
4.0
香港の象徴のひとつ、美しいビクトリア・ハーバーが見える湾岸エリアにそびえ立つ、高級高層マンション「ビクトリアNo.1」。ある晩、何者かが管理人室に忍び込み、居眠り中の警備員を絞殺。その後も、マンションの住民に対し、血の惨劇を繰り返す犯人の正体は、金融機関に勤めるチェン(ジョシー・ホー)。ごくフツウのOLである彼女がなぜ、このような猟奇的な行動に出るに至ったのか? そこには香港人の給与と高騰し続ける地価という、あまりに不条理な社会状況が大きく関係していた。
サイコ殺人鬼というと独自の美学を持っていたり頭脳明晰だったりするが、ジョシー・ホー演じるチェンは、違う。
「オーシャンビューの高級マンションに住みたい」ただそれだけのために、非道な殺人を繰り返した。それには、語るも涙、聞くも涙な悲しい女の人生があった。地上げにあいおんぼろアパートを追い出され、落ち着いた先のアパートはアスベストが使われていて父親はガンになり治療費がかかり、オーシャンビューのマンションに住むためにダブルワークしてもなかなか金は貯まらず、厄介者の父親を死に追いやり、やっと購入資金を貯めたら、前のオーナーが購入契約をドタキャンしてきた。こうなったらオーシャンビューに住むやつらを殺して、評価額を下げてやる。こんなぶっ飛んだ思考から、チェンの殺人行が始まる。
殺人の道具は、基本ハンマーとナイフや結束バンドやふとん圧縮器など、生活品を利用する。目玉は飛び出し、腸が切り裂かれるゴアな殺人シーン、タランティーノを意識したオフビートな会話、リアルだけどオフビートなスラッシャーホラー映画として楽しめます。 
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