空の落下地点

テイク・ディス・ワルツの空の落下地点のレビュー・感想・評価

テイク・ディス・ワルツ(2011年製作の映画)
3.2
久しぶりに時計見たくならない映画に出逢ったー。
マーゴという人物を単純に精神病者とかポリアモリストって括りたくない。
彼女はまるで色に飢えたパレット、あるいは全身に虹を施した紋白蝶。
世界中の男性にお父さんになってほしがってるみたいに見えた。
マーゴの父親が出てきてない。最後、両脇空けて乗り物に乗ってるのも、二人の想い人っていうよりは両親を求めてるんじゃないかな。
マーゴは待機が出来ない女性。それをしたい時にそれをする、じゃないと気が済まない。追いかけてほしい時に追いかけてくれる人なんて普通いないんだけど、映画だから都合よくそういう人物が用意されてる。
タイトルのワルツは、混迷という意味合いで使われていると思う。

「怖いと思うこと自体が怖いの」
「それは怖そうだ」
他方、夫は「何の話か分からない」と切り捨てる。

セラピスト兼父親みたいな人が都合よく神様からサーヴされる人生はそうそうない。正面からでなく対角線上でしか向き合えないなら、それを続けていくしかない。ある意味で、人生を諦めさせてくれる映画だった。

わたしは死ぬまでパレット色をさがす。観客はみんな義姉の立場から御伽噺を非難する権利がある。外れないシートベルトのようなままならなさだけが残る。
空の落下地点

空の落下地点