テイク・ディス・ワルツの作品情報・感想・評価

「テイク・ディス・ワルツ」に投稿された感想・評価

ごんす

ごんすの感想・評価

4.8
マーゴは夫ルーと結婚して5年目。
二人は仲が良く親友同士のようなノリで端から見れば幸せそう。
しかしマーゴは夫ルーが時々自分と向き合ってくれていない様に感じ不満や物足りなさを抱えている様子。
そんな中魅力的な青年ダニエルと運命的に出逢い彼に惹かれていく…

こんな風に書くと金曜22時のドラマで放送できそうな話ですが、なかなか破壊力のある作品と感じました。


自分は夫婦やカップル、パートナーとの倦怠などを扱った作品はワクチン接種の様なものと考えていて、実人生でこれから起こりうる問題への心構えや自分の性根と向き合う意味合いも込めて定期的な接種を心がけております。

しかし人によっては副反応(気分の落ち込み、イライラ、意欲喪失などなど)が強く出るので体調が整っている時の鑑賞が推奨されている。

近年では『ブルーバレンタイン』という名の倦怠期ワクチンが広く認知されている。
自分も思い返すと『ブルーバレンタイン』みたいなことになる…と気を付けたり、過去のあれは『ブルーバレンタイン』だったのか…もっと早く観ておけば…と感じることがあるので、知らず知らずのうちに心の拠り所にしていた映画。

しかしあれは若者が接種すると恋愛そのものへの拒否反応が強く残ってしまうのではないか!?と指摘する有識者もいるので出逢うタイミングは重要ですね。

とにかく人によって合う合わないがあるけれど鑑賞すると共感して泣いたり、アイツ許せねぇと怒ったり、自分に照らし合わせながら感想を語りたくなるのが倦怠期ものの特徴で、
この『テイク・ディス・ワルツ』は観た人がまわりにいないのでフィルマで存分に語りたい作品なのです。
もうこの映画の話だけでハイボール4杯ぐらいはいけるやつです。


近所にレンタル屋がなくなってしまったので、久々に中古DVDをポチり鑑賞。
まずミシェル・ウィリアムズ演じるマーゴのファッションの色使いがかなり赤、青が印象的。

初めてダニエルと出逢った時にハッキリとした赤色のトラックジャケット(これがめちゃくちゃ似合っていてかわいい)を着ていたので安易に信号の赤みたいに危険を知らせているのかな?と思った。
しかし、夫を想っている時は赤、ダニエルに気持ちが惹かれている時は青という風に別れていると何かで読んでしっくり来た。

じゃあ黄色は!?カラフルなワンピースの時は!?となんでも解説してほしがる現代人の悪い所が出てしまう。
ともかく赤と青は意図的かと。


恋愛や結婚について考察するような映画で当事者以外の人物が三角関係みたいな感じで登場すると安っぽくなることがあるけれど、この映画で運命的に現れた青年ダニエルは見事な役割を果たしていた様に思う。

あくまでも客観的に観ているとダニエルは良い所もあるけれど何もかもを捨てて共に生きたいと思わされる程の魅力は感じないのです。
やはり本作のテーマとも言える“何となく満たされない”状態のマーゴが出逢ったからこそのダニエルの魅力だったのでしょう。

マーゴは決して悪い女性ではなかった。
夫を愛していたし。
決断するしないは別としてこのぐらいの気持ちの揺れは責めれない気がする。

それよりも自分は夫ルーを観ていて、何度か共感性羞恥のようなものが…
奴が泣く所はお前も悪いんだから泣くな!と画面越しに彼を突き離すので精一杯でした。
(しかし嫌な部分は自分と似てるかも…と思いつつベースは自分よりとても良いやつ!)
そんな夫ルーは夫婦の記念日に行ったレストランで「何か話して」とマーゴに言われた際「話題がない」と強烈なパンチラインを放つ。
これはシンプルすぎて時が止まる…
そして「美味いものを食いにきてるんだ」「会話が無くても雰囲気を楽しめば良い」と続く。
そして「君のことは全部わかっている」と言い放ち、もう庇いきれない!
と思いつつも悲しいかな、ルーの言っているようなことも少し理解できてしまう自分もいる。
相手に失礼だと思いつつもこういう発言してしまったことは多分ある。。
「一緒にいると落ち着く」と「面倒くさくなくて楽」をごっちゃにして考えてしまった経験のある人いるはず!


そんな時期に対照的にイケメンで官能的な雰囲気も漂わせるダニエルと出逢ってしまっていたらそりゃあマーゴも行ったれ!と思ってしまうのも無理はない。

そしてマーゴは自分の気持ちに正直になり今も愛する所がないわけではない夫を捨て、
ダニエルのもとに走って行き、ついに二人は幸せに暮らしました…で終わればこんな長々と語れるはずもない。
この映画はその先を提示してみせます。

人によって感じ方がそれぞれ違うと思いますが、とにかくマーゴと同じような状況になった時、または友人などがマーゴと同じような状況になり相談を受けたりした際は「自分の気持ちに正直になった方が良いよ!」とかは言えなくなりました。

名曲『ラジオスターの悲劇』がこんな使われ方をするんだ、そしてこんな余韻を残すのかと驚く。

そしてこれほどフィル友さんのレビューを見つけてテンションが上がる作品は久々なのでした。
maniwa

maniwaの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

ミシェルウィリアムズが自然で平凡で、でも時々ハッとするほど美しくて可愛くて...
華やかな夏の衣装もぴったりだった!
大好き!

これは私の物語だ!と思う一方で、恋人がいる人、いた人、みんなの物語だとも思う、誰しもが直面する瞬間を切り取っている。

マーゴはダニエルを見つけてしまったのか、彼女が見つけられてしまったのか、はたまた運命的に出会ってしまったのか、、。
全部偶然に見えるけど、案外必然なのかもしれない。マーゴとルーの夫婦生活はある日突然変わってしまったわけではなく、ずっと前から終わっていたのかもしれない。

でもこれはループの物語ではない。(と、信じている)

彼女は同じワルツを繰り返しているのではない。ルーと別れる選択肢をとったマーゴは絶対に以前の彼女とは違う人間。「人生はどこか物足りないもの」なんていうのは誰にでも言えるセリフで、どんな結果であろうと気持ちに正直になれる人のことを私は尊敬する。

「何か話して」「君のことは知ってる」って会話を映画に組み込めるセンスよ、、、
akrutm

akrutmの感想・評価

4.1
夫との愛情関係に漠然とした不満や寂しさを感じている女性が、偶然知り合った近所の男性に惹かれつつも思い悩む姿を描いた、サラ・ポーリー監督の恋愛ドラマ映画。サラ・ポーリーが監督として製作した長編の第二作目にあたる。本作の舞台はサラ・ポーリーの故郷であるトロントで、特にリトル・ポルトガルなどの西地区近郊が中心。ビーチのシーンがあるが、これは海ではなくオンタリオ湖。最初のほうに出てくる、行ったことがあるなあと思って見ていた空港は、カナダのハブ空港であるトロント・ピアソン国際空港。

こんなふうに映画に出てくる風景を見ているだけでも心地良いのだが、映画の内容にも強く惹きつけられる。あらすじだけを見ると単純な不倫モノのように見えるかもしれないが、サラ・ポーリーはそんな映画は撮らない。やや心情描写が甘いと感じる部分がないことはないが、安易な展開に走ることなく、一人の女性の複雑で爆戦とした内面の寂しさや葛藤を徹底的に描いていく。

そして、そのような監督の意図に十分に応えるような演技を見せるのが、主人公の女性マーゴを演じたミシェル・ウィリアムズ。彼女は、『ブルーバレンタイン』や『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でも演じたように、こういう内面に悩みを抱えて精神的に不安定な女性を演じさせたらピカイチである。いかにもそんな悩みなどなさそうな印象を与えるベビーフェイスとのギャップも、その素晴らしさを際立たせている。予想がつくとは言え、ハリウッドエンディングとは異なるラストも考えさせられる。そこでポイントとなる一言を発するコメディアンのサラ・シルバーマンも印象的。

・ミシェル・ウィリアムズやサラ・シルバーマンがシャワーを浴びるヌードシーンも話題になったとか。
・セス・ローゲンが演じる役柄としては、ちょっとおとなしめか。
・ルーク・カービーは初めてみたが、なかなかイケメン。
・いきなり映し出される3Pシーンの意味が最初はよくわからなかった。こういう表現をするのか。
miu

miuの感想・評価

-
どっちつかずは居心地が悪い。失敗したら置いて行かれた気持ちになるから飛行機の乗り継ぎが不安。ふとした木漏れ日の光に泣きそうになってしまう。一瞬我慢すれば、それは消えてなくなるけれど。一度は思ったことがあることを彼女が言葉にしていた。誰も私のことを見ていないその間に私の中で起きていること。それを照らし合わせてくれる人。新しいものは魅力的に見えるけれど、いつかは古くなる。じゃあ古くなった気持ちは、自分の中のごみ箱のフォルダに貯まっていくの?そのままでなんていられるのかな。あんなにこぼれ落ちそうなくらい溢れていた光。うとうとしている時、それを時々空にかざすと幻みたいに思えるの、その背中が今はすごく遠い。私とあなたで全部、大事にできなくてごめんね。
乗り物が左右に揺れて、近づくか近づかないかの瞬間が永遠に思えて、そう、こういう瞬間のために生きているんだろうなと。今この瞬間がずっと続けばいいのにという記憶で満たしたい。けれど残酷にも音楽は鳴り止んでしまうから、また新たなワルツを探すのかもしれない。今だけは。それだけじゃだめなのかな。
おんなごころといえばそれまでなのかもしれないけれど、この満たされなさは少し虚しくて、寂しくて、愛しい。同じことの繰り返しになっても、求め続けるのか、居続けるのか。そんな行ったり来たりで前に進めていたりもするのかもしれない。
"人生なんかどこか物足りなくて当たり前なのよ。それに抵抗するなんてあんたバカよ"って言われてもね。絵葉書とシャワーのあそびごころ。形あるものと形ないもので伝える愛情表現。伝わるかが肝心なのかもしれないけれど、それを積み重ねた日々を思うと胸が苦しくなる。
感想を文字にするのが
難しい。

エロティックで
ちょっとみんな優しい。

生きていくって
いつも
どこか寂しくて
虚しい。
鬼畜系監督の代表格サラ・ポーリー監督の傑作人生映画。
 サラ・ポーリー監督の映画は物凄く優しいタッチだし、人間もそこまで酷い目に合わない。でも見終わったあとは心が哀しく重くなって、前向きになれる。不思議な映画を作る監督だと思います。
 この映画は不倫を題材として扱っているのですが、娯楽としての昼ドラのような展開にはなりません。人間関係が変化していき、自分の大切だった思い出や記憶が色褪せていく瞬間を描いている映画です。
 不倫などに関わらず、あらゆる体験でこういう瞬間は存在するのではないでしょうか。この映画の中ではミシェル・ウィリアムズは不倫相手に運命的なトキメキを感じてしまうのですが、その瞬間に固執するあまり、自分の家庭を捨ててしまいます。身勝手かもしれませんが、そのトキメキの瞬間を大切にすること以外に人生で大切なことなんて無いのかもしれません。
Tooko

Tookoの感想・評価

3.7
幸せに暮らしているのに、ふと虚しさを感じる。その理由はパートナーなのでしょうか?
新しい出会いに衝動的になっても、また同じことになるってことかな。
キッチンの最初と最後のシーンはきっとそう。。

夫婦のじゃれあうシーンや言葉の掛け合いなど、丁寧で好きな映画です。
なによりミチェル・ウィリアムズがやっぱりいい。
あんり

あんりの感想・評価

4.0
私にとって彼女は
素敵なワンピースを着た反面教師。
そしてたぶんあれは私。

新しいものに人は刺激を覚えるけど、どんなものも古いものになっていく。その時、また別の新しいものを探すか、古いものに落ち着くか。恋愛だけではなくあらゆることにその選択は存在する。

新しいものを追い続ける人もいる。それでも古いものをずっと愛している人もいる。それは同じものから何度も新しい一面を見出しているから。それは熟成と似ている。全く新しい別のものではなく、新しい「深み」を知ること。それが何かを続ける、誰かを愛し続けるための唯一の方法かもしれない。
ワインをゆっくり丁寧に愛することで美しい深みのある味を育てるように。だからいつだってワインが人を飽きさせることはない。

さらに忘れてはならないのは、変化のない毎日が送れることは幸せであること。人は何でも慣れてしまうからその有り難みを思い返さなくてはならない。
帰ってきた時に家に灯がついていること。お気に入りの服を何年も着られること。彼が香ばしい香りをたててキチンを焼いてくれること。朝日と夕日が毎日見られること。好きな人に会えること。
なんだって失くさないとその幸せがわからない。それではいけない。それでは古いことしか知らず、幸せを捨て続けてしまう。

彼女が自分の心を満たせなかったのはこれが理由の一つであろう。
だから彼女は私の反面教師。そしてたぶんあれは私。

このレビューはネタバレを含みます

期待以上の映画だった。女優のサラ・ポーリーが監督・脚本を務めているとかで。才能ありすぎだろ。
意外とこういう映画ってなかったよなぁと思う。これから何回か観たくなりそうな素晴らしい映画だった。
恋が落ち着いた愛情に変わってる相手との関係に飽きたり、憂鬱になったりして、そういう時に出会った新しい異性と恋に落ちる。そこまでは今まで多くの映画で語られてきた事だと思うけど、そこからがこの映画の違うところで、その新しい彼氏と恋が燃え上がり、それが日常に変化して愛が冷めていくところまで描き、昔の彼氏とまた復縁したくなるというどうしようもない感情を描いている。
主人公が、満たされないのが普通なのだというような事を言われるシーンがあるが、それで満足できないのが人間ってものだしな。最後のシーンの遊園地で一人楽しかった頃を思い出している主人公は切ない。

このレビューはネタバレを含みます

文字通りの赤裸々で、結構エグいことさせてるのにみんなの演技が自然で好き。
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