映画おじいさん

美貌の都の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

美貌の都(1957年製作の映画)
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貧しさにうんざりして金持ちボンボン(木村功)にホイホイとついて行き棄てられてしまう司葉子。登場人物どころか観客からの同情も得られないヒロイン像がちょっと良かった。

ボロボロになってしまっても洗脳状態の司葉子を、かつて同様に洗脳状態だった淡路恵子が救うくだりは恋愛とはカルトみたいなものということを切なく伝えてくれる。

フラれたせいでというかそもそも付き合ってもいないのに相当なやさぐれに転落する宝田明が滑稽で、その宝田明をめぐって起こる環三千世と司葉子(二役)の異様に長いキャットファイトが、滑稽なのは何も主人公の二人だけじゃないという感じで良かった。

ちょっと目が離れた顔をした環三千世が可愛い! 好み。小林桂樹がかつて通学で使っていた岡本駅の駅員だったのが何だか嬉しかった。

男女どちらにも肩入れするのが難しい、ちょっと変わったメロドラマ。恋愛は身分をわきまえて、という風にとられかねない話でもありました。