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驟雨のlingmudayanのレビュー・感想・評価

驟雨(1956年製作の映画)
3.0
原節子の少しくたびれた気だるい美しさと、隣の若い奥さん(根岸明美)の健康的な美しさが対照的でどちらも楽しめる(笑)。夫(佐野周二)は胃の弱いしがないサラリーマンで、田舎に帰ることばかり考えているが、時代ゆえか奥さんに対しては強く出られる。奥さんは初め、姪(香川京子)の婿に対する悪口に合わせるような形でしか夫に意見できなかったが、自分でも稼げるのではないかという自負と、「町内会」で自分の主張を言えた経験から、ついに夫に率直に反論できるようになる。これで夫婦仲は険悪になるかと思いきや、急に紙風船でのバトルが始まって丸く収まってしまう。作品には生活感が満ちていて、その中で夫婦の立場が少しずつ変化していく様子がよく描かれていると思う。舞台は戦後10年くらいの小田急線梅ヶ丘駅近くで、世田谷区とは言え長閑で少し貧しい感じを受けた。日本橋宝町のオフィスはやや華やかだったが、それでも少し窮屈な感じ。
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