驟雨の作品情報・感想・評価・動画配信

「驟雨」に投稿された感想・評価

結婚4年目の夫婦のところに姪が来て、という始まりは「めし」なんだけど原節子は「めし」のときよりプンプンしている。こっちの方が深刻さはきもち低め。姪の、夫への愚痴を聞いてそれをすり替えて自分の夫に伝える。夫は「男っていうのは〜」と自分の言い分をすり替えて伝える。このやりとりがうまい。「蒲郡が何県かなんてわかる?」わかるよー!成瀬作品にしてはラストにキレがない。もちろん悪くはない、ふつう。それとも音楽のせいか、なんかうるさかった。
「〜ざんす」って本当に話すひとほんとにいたんだね。
カッティングがキレキレでビビる。会話劇なのにアクション映画見てるみたいだった。ラストの唐突な紙風船には笑った。
憚り

憚りの感想・評価

4.5
えっぐい。大胆な動きの省略。カメラ-被写体の距離やタイミングを巧妙にずらすカットバックによる相対化。主張と伝聞のすり替え、会話のアクロバット。ジャストから外れ続ける時計の針。足に絡まるネクタイ、それを拾い上げる原節子、見つからないストッキング、根岸明美の素足。唐突に現れる紙風船の緩やかな落下、転調。背中が語るペーソスとユーモア。
台所でご飯を駆け込む原節子がわたしのオカンみたいで良かった。The昭和家庭の男女の固定された役割のような概念にはうんざりするけどそれはあの頃から当たり前のようでやはり女性にとっては当たり前ではなかったようだ。今の邦画だと夫婦の日常芝居も現代にアップデートしていかなきゃいけないのだろうなぁとかぼんやり考えてた。
kokke

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3.5
そんなの可愛いものとあしらった姪の愚痴話を、その後夫の非難のために態度を変えて大事のように話すのが凄く面白かった。それを眺める姪の表情も最高だった。
moty

motyの感想・評価

3.7
しゅうう=にわか雨=Rain Showers

ごくごく普通の日常をリアルに興味深く描くのは、かなりの技術が必要だと思われる。庶民的だが品のあるトーンが好きだ。
成瀬巳喜男監督作。いい意味で毒にも薬にもならないような、サラリーマン夫婦の家庭劇。そんなザ・ホームドラマで、ここまで完成度が高い映画もそうそう見つからないんじゃなかろうか。展開もセリフも小気味良くて楽しく観れた。
原節子がすねたり落ち込んだり、意地を張ったりで人間くさくて愛らしい。聖女っぽい、悪く言うとちょっと退屈なイメージだったのですごく新鮮だった。お気に入りのシーンは、灰皿を離れた距離から旦那にシュッとすべらすシーンとか、台所でお茶漬けをかき込むシーンかな。

郊外からの出社シーンなんかは、モダンな海外映画の影響もあるかも。ピアノ小品を使った音楽も雰囲気にマッチしてる。
知らなかったけど驟雨とは、にわか雨のことらしい。人生突然のにわか雨で戸惑ったりしても、なんだかんだでどうにかなる。そんな前向きな気分になれる一本。

…とはいえ、現代の目線から見ると、見方や受け止め方次第では当時の家庭とは、妥協を続ける地獄のように見えなくもない。
面白いなぁ!
夫婦の掛け合いが絶妙で
これだから男は、女ってやつは
と互いに愚痴をこぼしつつ
背中をつついてくれる関係

ふわふわした紙ふうせんのように定まらないけど叩いてくれる人がいればいいんだな
日本列島のくだりは笑った。

このレビューはネタバレを含みます

天下の原節子に台所で立ちながら茶漬けをすすらせる演出を観るだけでいい。傑作です。無駄のない構成は見事という他ない。最後の紙風船の打ち合いの滑稽感は誰にも出せないんだろうな。冒頭の香川京子と原節子のやりとりは本当に上質なユーモアに溢れている。

岸田国士のいつつかの戯曲を一本にまとめあげた、水木洋子の脚本がまず秀逸。

倦怠期をむかえた夫婦というなにやら既視感のある設定だが、『めし』よりも作品としてはるかに緻密で完成度が高い。
気が利いたセリフのテンポ良い応酬が、どこかユーモアを感じさせ、第一級のホームドラマにしあがっている。

エンディングも素晴らしいが、そこへいたるきっかけが、無言のさりげない演出によってえがかれておりこれまた見事。
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