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七人の侍のメロンのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
4.6
戦国時代の貧しい農村を舞台に、野盗と化した野武士から村を守る七人の侍たちの雄姿を描く。
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初めて黒澤映画を鑑賞した『羅生門』は黒澤監督の凄さあまりわからなかったが、本作を鑑賞して黒澤明の凄さを実感できた。誰が観てもすごいと思うのではないだろうか。
オープニングの曲からしびれるかっこよさがあり、もうこの時点でおそらくこれは大作だと実感している。

三船敏郎演じる菊千代は子どもっぽさがあって、言動がおかしかったりクレイジーな部分があるけど、たまに芯のついたことを言ったりするのでそのギャップにやられる。目的地に向かう侍メンバーに勝手に付いていったりと途中まで自称”七人目の侍”だと思っていたが、知らず知らずのうちにちゃんと”七人の侍”のメンバーとして遜色なく活躍している。彼には何か見放せない不思議な魅力がある。

「人を守ってこそ自分も守れる。己のことばかり考えるやつは己をも滅ぼすやつだ。」
久蔵のこのセリフはドンと重く突き刺さる。。
彼の過去は描かれていないが、想像しただけで今までどんな道を歩んで来たかわかる。剣術も立派で人生の経験値はきっと計り知れない。この映画の中では侍という言葉が最もふさわしい人物だと思う。哀愁と渋みのある”ザ・侍”、かっこいいね。

今まで仲間たちを引っ張ってきた勘兵衛だが、ラストシーンにて、野武士を討ち戦には勝ったと思ったが仲間を失い、「また負け戦か、勝ったのは百姓だ」と言い放つ。今回の戦に対して全てが詰まっているように聞こえ、とても重みのある言葉だった。最後の最後まで抜け目のない重厚感のある侍だった。

七人の侍全員に個性があって魅力があり、演者、舞台、演出、ストーリー、音響、衣装、ここまで全てが仕上がっている日本の映画はなかなかないと思う。時代劇の頂点に君臨する、世界に誇る日本映画の傑作だ。

300
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