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桐島、部活やめるってよのaのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.3
戦場で生き抜く、それぞれの葛藤

もうすぐ高校卒業なので観賞。
いきなりだが、スクールカーストは大きく分けて6つあると思う。

① こいつがいないと場の空気が暗くなるくらい存在感ある奴。
② ①の友達。だいたい運動部でファッション、髪型のセンス良し。
③ イケてる組、イケてない組のどちらでも仲良くできる万能野郎。
④ ①②③のある程度の人と浅く、広い関係を持つ。時々②の奴にいじられて笑いを取る。
⑤ いてもいなくても同じ。ほぼ空気。運動神経が悪く、ほとんど文化部。
⑥ 他クラスの人に「あんな人いたの?」「転校生?」と廊下ですら見たことない奴。スーパー陰キャラ。
(※gJ体験談)
この6つのほとんどが、この「桐島、部活やめるってよ」に入っている。台詞や行動、上辺だけの友人、才能、不安、恋愛、嫉妬、、、。これらの要素が超リアルに描かれている。

高校って少なからず、上位 、下位のような順番があって、それはなくならない。上位の人間が下位を嘲笑う。下位の人間は影で上位の悪口を言う。上位の人間は上位の人間と付き合う。下位もまた同じ。これは恋愛にしろ、友情にしろ全く同じ。結局、人は皆自分の立場や地位を保守するために他人が笑う時に笑い、空気を読む。自分ではこんなことしたくない。でも、一人は怖い、友達がいれば強い気がする、と錯覚してしまう。自ら望んで一人になりたいなんて言う奴はきっとどこかで強がってるし、愛され方を忘れてしまう。
高校生って多感な時期だし、友達との間で何かあったり、自分の意見が言えなかったり、と悩み、苦しむ時期が多くある。私自身も他人の少しの表情が気になったり、勝手にマイナスに考え込む時があった。でも自分が思うほど他人は自分のことなんて考えてないし、過去はいつかは忘れてしまうと思えば、一歩踏み出す勇気に繋がる。「僕は最下層だから、、」と隠れてるのではなく、自分の好きな道を必死に突っ走る前田はカースト関係なく誰よりも輝いていた。それを宏樹の涙が物語っていた。

終盤の展開は不覚にも目頭が熱くなったし、桐島が不在なだけで、こんなにも揺れ動く高校生の気持ちを約100分で上手く整理した吉田監督は素晴らしい。キャストも今をときめく人ばかりで、若い爽やかさが等身大の高校生を好演した。
高校は格差社会、そんな中で"自分"と戦う男女はとても映画を見てるとは思えなかった。
様々な演出も加え、個人的傑作。


映画館に一人で行く、映画雑誌を読む。前田と自分が重なってすごく心地よかった。まぁ流石に「鉄男」はまだ見ないけど、、。タランティーノとソンビ映画も見よ。
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