ヨシタカ

桐島、部活やめるってよのヨシタカのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.2
2015/01/12(月)
レンタルにて。妻と鑑賞。
普通の映画と決定的に異なるのは、この映画に絶対的な主人公や明確な結末は存在しない点。一つの出来事(というか噂)を軸として、それに直接的、間接的に関わる生徒たちそれぞれの視点でストーリーが進む。各登場人物が重層的に描かれており、そこには現実と同様に絶対的な善人も悪人も存在しない。
観終わった瞬間、この映画が伝えたいことは一体何なのか、正直よく分からなかった。しかし、後から一つ一つのシーンを思い返すことで、個々の登場人物の思いや製作者の意図が徐々に見えてくる。
宏樹が野球部のキャプテンから身を隠すシーン、前田にカメラを向けられて泣くシーン、最後に野球部の練習を見るシーン等、彼の心情について想像力を掻き立てられる。他にも、吹部の部長、宏樹の友人、女子グループ、バレー部、映画部、それぞれの心の動きを考察すると非常に面白い。
噛めば噛む程味が出るスルメのような映画。「よく分からなかった」と感じてそこで終えてしまうのは勿体ないと思う。
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