めちゃくちゃ良かった!
ある街・ある1日の何でもない出来事を、詰めこみすぎず抜きすぎず、洗練されていることを忘れてしまうほど洗練されたやり方で、軽くさっと撮ってみせたかのような映画だった。
何かが起こりすぎない品の良さがある。あの曲がり角の向こうにあの人がまだいるのでは、というような糖度の高い過剰なエモーションを、カメラによって言外にちらつかせつつ、何も起こらないことの美しさがある。
今まで原節子をみて「ヘップバーンみたい」と形容していたけど、ヘップバーンは全然原節子みたいじゃなくてもっと自然主義的だった…原節子への形容表現をひとつ失った。もう「(いわゆるルネサンス以前の)ディズニープリンセスみたい」しか残ってない。