KazuAnn

肉体の門のKazuAnnのレビュー・感想・評価

肉体の門(1964年製作の映画)
4.2
1964年公開の鈴木清順監督の日活作品。原作は田村康次郎による戰後の同名ベストセラーで、宍戸錠主演。米軍占領下、きちんとお金を取って春を売るという掟で共同生活している女達の衣装が、赤、黄、紫、緑とカラフルで清順監督らしい。

なんと言っても、河西郁子や松尾嘉代のエネルギー、無料で寝た罪で裸で仲間から鞭に打たれる冨永美沙子と野川由美子の体当たり演技に圧倒された。野川はこの映画がデビューということだが、米人牧師の誘惑もあるが、その強い眼差しが印象に残る。そして寝ている宍戸の背中への噛みつきから始まるシーン。喘ぐ首筋、滲んだ手足の映像で捉えられた宍戸との絡みは物凄くエロく且つ美しくも有り、清順美学に脱帽。

宍戸は呆気なく撃ち殺されるが、彼の持っていた川に浮かぶ出征時の国旗を見つけ、ドブ川に躊躇せずに入る野川の姿に強い恋情と意志を見た。

そして最後、女達の稼ぐ姿に被せた、一人脱落者として生き抜こうとする彼女の言葉に潔さと強さを感じた。
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