Monisan

肉体の門のMonisanのレビュー・感想・評価

肉体の門(1964年製作の映画)
4.2
観た。

とても熱量の高い映画だと感じた。

戦後の東京で食べる為に身体を売らざるを得ない女性達。悲壮感は無く、強さとエネルギーがあり、明るくポジティブにすら見える。
今の日本はこの頃と比べて良くなっているのだろうか。台詞でお客と中抜きされず直接取引してんだ、お得だろ的な事を言っていたが。今、大久保公園周辺に立って個人で売春をしている女子達がいる。やっている事は同じだけどSNSで見る彼女らの姿には悲壮感しか無い。

敗戦を経て復興に向けて動き出している街や人々。
勿論、描き方の程度はあると思うが、とにかくエネルギッシュに見える。冒頭のキャバレーのシーンから強く華やか。

米兵に強姦され、トラウマになっているマヤ。彼女目線で物語は語られる。野川由美子、目が印象的でとても美しい。
パンスケ集団のアジトに匿われ、自身も商売を始める。裏切り行為をすると半殺しにあうという掟。
そこへ復員兵の伊吹しんちゃんが。宍戸錠の肉体が凄い。これは惚れる。女達がそれぞれの理由で惚れていく様が微笑ましい。各々の担当カラーを背景に本音を語るシーン、アイドルの担当カラーを彷彿とさせ斬新な演出。

牛をしんちゃんが捌くシーン、これリアルな牛を使ってるよね…なかなかにワイルドで迫力がある。

時々入る太鼓のドンドンという音楽も良い。音の演出が所謂、表拍ぽいんだけど日本人としてしっくりくる。

マヤがかつて助けてくれた牧師を無理やり誘って殻を破ろうとするシーンも見応え。キリスト教圏の人はよりショッキングなのかな。

最後はマヤの強い決意のナレーションで終わる。終、の文字とそこに当たる音が強い。終わり!!って感じ。

原作はもっと続きがありそうだけど、お話も映画の演出も心を動かされるものがあった。

鈴木清順、監督。
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