ぱねぇ

Kids Return キッズ・リターンのぱねぇのレビュー・感想・評価

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)
4.8
久石譲の名曲"Kids Return"を聞くと、自然と内なる力や高揚感に心を燃やすような感覚に陥るが、それこそ北野武の冷徹な視点から見た哀れな若者の姿そのものである。

万物にはそれぞれ役割が当てられており、花ひとつとっても道端にそっと咲く花、人に見られるために生けた花、ギフトとして装飾された花、いろいろだ。当然ながらこれは人間も同じで、人類の進歩のための役割を当てられた研究者、大衆の心を救済する役を与えられた宗教家、我々に生き方を教えてくれる哲学者、人の心に豊かさをもたらす芸術家、いろいろだ。
そしてマサルとシンジは?少なくともボクサーのチャンピオンでもヤクザの親分でもなかったことはたしかだ。しかし、我々には必ず生まれてきた意味があり、どんなにささやかでも役割がある。それを探す旅こそ、人生なのだ。死に際に気づくようなものでも構わない。ただひたすら自転車を漕ぎ前へ進むしかないのだ。
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