菩薩

拳銃を売る男の菩薩のレビュー・感想・評価

拳銃を売る男(1953年製作の映画)
3.8
何やら編集のぶつ切り感が気になるところではあるが、どうやら勝手に20分程短くされてしまったようでしょうがないところか。序盤30分は完全にネオレアリズモ、そこから徐々にノワールの香りが漂い始め、最終的にはイーストウッドの『パーフェクトワールド』的擬似親子物へと着地していく。拳銃を売りたくても足元を見られ、空腹に耐えかねて手を付けたパンを咎められ店主を殺してしまった男と、どうしてもサーカスに行きたいが為に、牛乳代をビー玉へと変え一儲けを企むが、当てが外れて一文無しになってしまった少年の人生が交錯していく。無垢な目が見る男はつらいよ、大人はつらいよ、金があれば、金さえあれば…の世界、務めを終えた老馬は容赦無く肉屋へと売られていく残酷な現実。どこにも行けず、何にもなれぬ名もなき男、腹が減った、疲れたと嘆き悲しむ事すら許されない世知辛さ、あの波止場から船にさえ乗れれば…その希望はもう叶わない。だが少年には未来がある、明日もこの街一番の腕と息巻くビー玉遊びで、金持ち少年から少しばかりの金銭を掻っ払ってやるのだろうか、母は約束通りサーカスに連れて行ってくれるだろうか、あの「父親」の事も、きっといつか忘れてしまうのだろう(けど、それで良い)。にしてもエロジジイがお手伝いちゃんの盗みを見逃す代わりに夜伽の相手を迫る口調が、まんまコンビニで万引きを見逃す代わりに小部屋でJK犯すタイプのAVのそれでドン引きした。金よ…金よ…金なのよ…。
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