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華麗なる激情のevergla00のレビュー・感想・評価

華麗なる激情(1964年製作の映画)
3.5
【父と子】

ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂天井画に取り掛かり、完成させるまでの歳月を描いた映画。

作品選び間違えたかな?と不安になるくらい前置きが長いですが、ミケランジェロの傑作集が先に紹介されます。

彫刻家を自負していた彼にとって、フレスコ画の制作は嫌で嫌で仕方がなかった😅。インスピレーションが湧かない!と言って散々逃げ回ったあげく、自ら提案してきたものは当初よりずっと複雑な大作でした。

制作を命じた教皇Julius IIとミケランジェロとのやり取りが面白いです。今で言うなら、給料を滞納するパワハラ社長と、天才だけど高慢で偏屈で全く空気の読めない平社員という究極の対立でしょうか。Julius IIは、教皇というよりむしろ将軍という感じの出で立ちなので、このやり取りにちょっとヒヤヒヤします。しかしやはり教会トップの聖職者なだけに、ミケランジェロがどれだけ無礼を働いても父親のような寛大さで許します。どちらかが挫けそうな時には互いに発破をかけるという、素直になれない擬似親子愛が微笑ましいです。ラファエロも注目される中で、Julius IIは誰よりもミケランジェロの才能を信じ、彼の「創造物」を愛していたのだなと思いました。

ミケランジェロの彫刻のような肉体美を持つと言われたCharlton Hestonがミケランジェロ本人を演じています。自分が理想とした体格の俳優が選ばれて、ミケランジェロはきっと喜んでいるに違いない😊

当時の芸術はもちろんですが、映画の美術担当も相当な力の入れようだと思います。衣装も色鮮やかでした。(アカデミー賞はノミネートのみ。受賞は ”Doctor Zhivago”と知って納得。)

“When will you make an end?
ーWhen I am finished!”

“The act of creation is an act of love.”
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