KondoChihiro

泥の河のKondoChihiroのレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.3
私はレビューを書くときに「完璧な映画」って表現を使うことがたまにある。あくまで個人的な映画経験の中で、しかし全くの自分の好みであるかどうかは別として、私の勝手に思う映画なるものの正解の姿、を見たような気がする時に使うのだけれど、この映画程そういう意味での「完璧」が似合う映画もなかなか無いと思った。
宮本輝の原作が描き出している昭和30年の日本(私にとって母の生まれた年)。その世界を80年代にモノクロの映像で実写化している、ということになるんだけれども。日本人なら誰でも持っているであろう、土門拳の世界みたいな日本の戦後の原風景みたいなイメージと、日本人でなくとも誰でも持っているであろう、幼い頃の痛みの記憶。それをごく正しく映し出した完璧な映画だと思う。
ちょっとトウのたち始めた加賀まりこの異物感がステキ。

上映後に小栗監督のトークショーがある回で観ることが出来たんだけど、もうだいぶ前のことなので何を話していたかさっぱり覚えていない…
ていうかFOUJITA関連の話と、来場者からの「映画を作るにあたって一番大変なことは?」という質問に対しお金だと答えていたこと位しか具体的に思い出せない。
なんてもったいない…

あと、wikiのページを読んでたら、原作の舞台は大阪なんだけど、撮影は名古屋の中川運河で行われたそう。子供の頃に住んでいた所のすぐ近くだったと今更知って感慨深い。
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