Kientopp552

駆逐艦雪風のKientopp552のレビュー・感想・評価

駆逐艦雪風(1964年製作の映画)
1.0
 当時流行っていた「民衆視点」の歴史観よろしく、本作でも、一等主計兵の目で、駆逐艦雪風の、太平洋戦争中の運命が語られるが、ストーリーは、この「奇跡の強運艦」の「生きざま」を、おとなしく、その起工・進水・竣工から、戦後直後までを順を追って、詰まらなく描く。

 こんな駄作に駆り出された松竹の看板女優岩下志麻も、役者としての見せどころがなく、出ては、そのままストーリー上から消える。62年に撮られた、巨匠小津安二郎の遺作『秋刀魚の味』で長女役をこなした彼女は、66年に、松竹ヌヴェル・ヴァーグの立役者の一人篠田正浩監督と結婚し、日本現代アート映画の顔の一人になる女優である。それを思うと、本作での岩下は、痛々しいほどであるが、脚本が良くなければ、いくらいい俳優であっても、映画は救えないということであろう。A.ヒッチコックにならって、述べるとすれば、「一に脚本、二に脚本、(三・四がなくて、)五も脚本」とでも言えようか。
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