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スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還のKYのレビュー・感想・評価

3.8
【起】5が近未来バトルばかりで欠けていた惑星の宇宙人との交流という世界観をジャバ・ザ・ハット中心に描き、そこにバトルをくわえて華々しく世界観を表現。そしてヨーダの死から最終決戦へ物語の動機スタート。

スターウォーズに唯一欠けていたエロスをレイア姫の奴隷服で描くも中途半端。レイア姫だから仕方がない。

【承1】レイア姫がルークの妹と分かり、4と5で引っ張ってきた三角関係をあっさり終幕、新デススター破壊への最終決戦へ物語の動機スタート。

早速到着したエンドアでXウイングバトルにマンネリ化したファンに向けて新たなアイデアとしてバイクバトルを提示。

しかしこの段階で気づく。もはや見所がスカイウォーカー親子の関係の決着のみになる。普通に考えたらもうその間に挟むべきものがマンネリ的な戦闘シーンしかないのだ。

しかしさすが歴史的名作。そこで6のある意味一番の見所が次に登場する。スターウォーズがカルト映画たる所以、イウォーク達の登場だ。

可愛いのか怖いのかよく分からないルックスの原子民族に狙われC3POが神と拝まれる展開は、ある意味ボケとシュールの混在。ここにぶっ込んで来たのは凄い。リアルタイムで観たらどんな気分だったのだろうか。

【承2】物語は3つ同時に進行する。スカイウォーカー親子のライトセーバー戦、ハンソロ&レイア姫&イウォークVSストームトルーパーの地上戦、ランドVS帝国の宇宙戦争。

もはや見せ所はスカイウォーカー親子の心理描写のみだが、この心理描写で重要なのはルークではなくアナキン側なのでマスクで顔が見えず迫力やテンポに欠ける。

そこでマンネリだがハンソロ&レイア姫のブラスターと宇宙戦争を無理矢理挟んで派手にした印象。唯一イウォークの戦闘シーンのシュールさでもたせてるのがキツイ。

【転結】ここでついに面白いテーマが表出する。ルークはダースベイダーにとどめをささないという選択でジェダイの思想を守ったというのは、善悪二元で考えると復讐が生み出すダークサイドへの堕落の連鎖をストップさせるという発想で深い。

MVPはダースベイダー。
次点はイウォーク、C3PO。

スカイウォーカー親子のやり取りも実はダースベイダー側が重要だったわけで、6は本当にアナキンの葛藤の映画だったことを痛感した。もはや見るべきポイントもそこしかないので、MVPがダースベイダーなのは必然か。

次点の原子民族イウォークの存在意義は過去から未来への進化を求めるキリスト教的なシスへの強力なジェダイ側の仏教的アンチテーゼとして立ち現れる。

4と5が近未来的な宇宙戦中心設定でR2D2の活躍の場にならざるを得なかったが、その反動で惑星での宇宙人との交流が多くなった6では通訳のC3POが最大に生きたのも面白かった。このコンビはシチュエーション毎に見せ場が交代するから名コンビなのだろうと思わされた。
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