似太郎

地獄の似太郎のレビュー・感想・評価

地獄(1999年製作の映画)
4.0
この映画、石井輝男作品としては世間的に「超絶的失敗作」の烙印を押されているようだが、はっきり言ってこの監督の作る映画は全部「超絶的失敗」を意図的にやってる部分があるから、一概に「超絶的失敗作」とは断定し切れないモノがある。

グロテスク、残酷、猟奇の極みみたいな「地獄」の描写よりも遥かに気色悪いのが「現世」の描写である。90年代特有のゲロゲロで終末観てんこ盛りの映像が観てて吐き気を催してくる。

全編、オエ〜ッ🤮みたいな描写の雨霰である。
死んでゆくのが地獄なら、生きているのもまた地獄。外道にゃやれぬ、この命。要するに「生き地獄」を描いた映画だったのある。😇

宮崎勤や麻原彰晃をモデルにした役者達による、醜悪&アンモラルな犯罪行為の数々。盗撮、殺人、オカルト思想、強制レイプの数々はこの世の地獄なんかよりも数段おぞましい光景である。ブルブルガクガク…。🥶

ラスト近く、三途の川に登場する丹波哲郎(ex.明日死能)が鬼共をバッサ、バッサと刀で斬り払う場面を見た主人公の女の子が「カッコいい〜!」と叫ぶシーンで撃沈すること間違いなし。こいつは相当なクレイジーだ。

最後は取ってつけたような「太陽礼拝」(オウム真理教へのアンチテーゼ。それも全裸で)みたいな場面に唐突に切り替わり、釈然としないまま幕を閉じる。これで失笑しない人がいますか???

…とまあ、色々な意味で「ゾゾゾ〜ッ」とさせてくれる映画なのだが、徹底的に人間のエグい、またはエロい面を描こうとする石井輝男監督の勇気というか、スタンス自体は買う。(作家性ってヤツ?😙)

個人的にこの監督の後期(90年代)の代表作として位置付けられる作品だと思っている。
似太郎

似太郎