うめ

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャーのうめのレビュー・感想・評価

3.5
 歴史が絡む作品で、どうしても毎回気になってしまうのが、言語である。今回も探査レーデーや傍受した会話にドイツ語が登場するのに、ヒドラの人々は英語で会話をしている…あぁ、色んな事情はわかるし、フィクションなんでしょうがないのはわかるのだけれど…気になる。それぞれの言語の音声の雰囲気もあるはずで…。(もっと言うと、ヨーロッパの人々とアメリカの人々って顔の雰囲気もちょっと違うような気がするのだ…って言い出したらキリないのだけれど。)ちょっとドイツの歴史をかじった人間としてはやっぱり気になるのだ。(だって、フランス語圏出身のアメリカの兵士がフランス語で話すシーンはあったのに…)なので、終始違和感があったのは否めない。

 時代設定が第二次世界大戦中で、ヒトラーから分離した組織ヒドラが悪役となるわけだが…これがチープ(笑)いや、色々オカルトじみた話も実際、浮上していたし、そういうイメージがナチスにあるのもわかる。ただ、あまりに典型的過ぎて…2010年代に入ってもこういう悪役設定を真面目にやっちゃうのかと。(いや、そもそもキャプテンアメリカが創作された時期がそういう時期だったのだからしょうがないのだろうが。)
 スティーヴがキャプテンアメリカとなるまでを描いた前半のストーリーはとても丁寧に作られていて良かった。キャプテンアメリカになった後も、国債を集める存在として利用されるという、ある意味でヒーローの側面を描いていたのも良かった。ただその後、ヒドラを倒すために闘い始めた辺りから若干、ぼやけてしまったような気がした。「善人が悪を働くこともあれば、悪人が善を働くこともある」というようなセリフにもあったように、ただ悪を打ち倒すという事ではなく、超人的な力を得たキャプテンアメリカとしての「正義」がいかなるものか、キャプテンアメリカとして闘う意味を提示してほしかった。まぁ、そうなると他のヒーロー作品との差別化が難しいかもしれないが、そこまでの深みが欲しかった。(もしかしたら今作以降に制作されたマーベル作品にそうした事が描かれているかもしれないが。)
 あとは、ソーのハンマー然り、シールドってあんなに武器になるものなのだなぁと(笑)そして、意外とシールドがないと闘えない事もあるのだなぁと思った。しかしこうして観て調べていくと、アメコミは歴史が長く、歴史そのものが面白い。18世紀頃から現在までのアメリカをつなぐアメコミ。ただヒーローものとして観るのも楽しいかもしれないが、こうしたヒーローたちの背景を覗きながら観るのも興味深いかもしれない、と思った作品だった。
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