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北陸代理戦争のSHOHEIのレビュー・感想・評価

北陸代理戦争(1977年製作の映画)
3.9
北陸を根城にするヤクザ、川田登は競艇場の利権譲渡の約束をないがしろにされたことから親分の安浦を非道な手段で脅す。これに手を焼いた安浦は舎弟の万谷に助けを求める。万谷は川田を牽制するため関西極道の金井を招く。しかしこれが結果的に金井の北陸侵攻を許してしまう。やがて川田は金井の親に当たる岡野と手を結び、北陸は関西ヤクザの代理戦争の場となってゆく。

『仁義なき戦い』以降の東映実録路線の一作。監督はおなじみ深作欣二。雪深い北陸地方が舞台で、雪中から頭だけを残して体を生き埋めにし、ジープで轢き殺そうとする暴力演出がひときわ名場面となっている映画。随所にドンパチシーンあり、頭脳戦ありで全編バランスがよく飽きない。登場人物、特に主演・松方秀樹の手段を選ばぬ振る舞いと『仁義なき戦い 広島死闘篇』勝利役でおなじみ千葉真一のギラギラした演技も見どころ。ただ万谷を演じるハナ肇は演技が下手。ヤクザ映画に欠かせない小物っぽさはあって面白いキャラクターだが。関西極道に乗っ取られた北陸を同じ関西極道を使って奪い返し、最後には彼らに牙を剥く主人公川田の狂犬っぷり。毒を以て毒を制す。過酷な暮らしを強いられる北陸だからこそそこで育ったヤクザのしぶとさが伝わってくる。極道たちを支える女性にもスポットライトが当たっており周囲に翻弄されながらも力強く生きようとする姿に哀愁がある。後年の『極道の妻たち』シリーズへの繋がりを感じさせる。
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