おくむらひ

X-メンのおくむらひのレビュー・感想・評価

X-メン(2000年製作の映画)
2.9
DNAの突然変異により特殊な能力を得た「ミュータント」と政治・社会の関係。
ケリー上院議員が「ミュータントのリストがある」と言ってリストにあるミュータントについて読み上げていくシーンにおいては、ジョセフ・マッカーシーによる赤狩りのパフォーマンスを重ねることによる、特定の人間を「排除」すること、それに社会が向かっていくことの恐ろしさについての言及のように見える。
政治によって弾圧されるマイノリティ=ミュータントの側もやはり一枚岩ではない。ポーランドのユダヤ人収容所で金属を操る能力を初めて覚醒させたマグニートと、マインドコントロールの能力故か他人への共感と正義感が強いプロフェッサーXの対立。社会からマイノリティとして簡単に括られてもその個性や態度には違いが無数に存在しているということ。まぁ当たり前だが。社会からの抑圧から政治による弾圧にフェーズが進もうとしても、同じマイノリティだからとすぐに連携できない複雑さがそこにはある。
一般大衆よりも秀でているがマイノリティとして差別される存在。敢えてここでは書かないけれど、このモチーフを現実に当てはめると…?
アメリカへの移民の玄関口であるエリス島をわざわざ舞台に選ぶ意味も考えたいところ。
CGはすごい好みで、古臭くてダメなんてのは一つも思わなかった。マグニートが放射線?のフィールドを展開するところとか大好き。
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