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その男 ヴァン・ダムのrsp44274のレビュー・感想・評価

その男 ヴァン・ダム(2008年製作の映画)
4.8
あらゆる虚無。
リアリティ溢れる虚無コレクションに圧倒された90分。
極めて哲学的、詩的な映画。
特によかった第2部。
どんなに辛いことや葛藤を抱えていようともお構いなしに日常が変わらないスピードとカオス感で過ぎていく虚しさが彩度の低い映像でうまく表現されてる。
自分という存在を引きでみたときのなんとも言えないスケール感。
小物感あふれる強盗犯が日常の煩雑そのものを表現してるようで虚無がブラックかつコミカルに描かれてることに圧倒される。

最終部、卵が石に落ちて割れるは死を意味してるのではないか。
きちんと最後に死を持ってくるところがなんとも整然としていて素晴らしい。

お前が勝ち、俺は負ける。
お前とは多分運命。
才能を開花させずに終わる者がいて
開花させてもなお虚しい者がいる。
一体どうすれば良いのか。

並の成功を求めあがいても運命に翻弄されつつ卵は割れていく。
映画じゃないこれは現実だ。
ヴァンダムのこの言葉がこの映画をよく表してる。
薄々気づいてた人生の虚しさのベールを全部剥ぎ取った。そんな映画。
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