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生きてこそのumeshioのレビュー・感想・評価

生きてこそ(1993年製作の映画)
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2018/05/15

壮絶。
そしてこの事故がそんなに昔のことじゃないのが驚きだし、どんな人にもこういった予期せぬ事態が まさに今起こってもなんら不思議じゃないことを再確認させられた。

わたしだったら、この人たちみたいに強く在っただろうか。想像するだけで死ぬよりも辛く想像を絶する数ヶ月を生き延びられるだろうか。
最後のヘリが来るシーンで思わず泣いてしまった。エンドロールのアベマリアがとても響く。

思ったより派手じゃないところがこの作品の良さだしリアリティを生んでいると思う。信じられないことって、劇的に起こるわけじゃなくて、日常の地続きで起こるんだよなあ。知らぬ間にその渦中にいるというか。

困難な事態に身を置いているときこそ、神を身近に感じるのはなんとなく理解できる気がする。悲劇を体験したからこそ まざまざと生を感じ、神の存在を知る。
そうじゃないと生をあまり感じられない、実感できないというのは人間の悲しいところなのかもしれない。

なんども観たい作品ではないけれど、観ておかないといけない作品だった。
冒頭のセリフがずっと心に残っている。

「学校で教わる神もいるがーー文明社会の壁に邪魔されてーー我々の目から隠れている神もいる。 山であったのはその神だ。」

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