Hachi

黒い家のHachiのレビュー・感想・評価

黒い家(1999年製作の映画)
4.2
よくよく考えたら森田芳光とホラーって相性抜群よねと思った。

前半はとにかく奇妙、ずっと不穏。コミカルなくらい気持ち悪い西村雅彦。ボソボソ喋りの内野聖陽。物語とは無関係だが執拗に出てくるプール。下手なバタ足と下手な息継ぎ。その顔。時折挟み込まれるネオンカラーのベタ。パソコン画面を写したテロップ。金属音みたいな変な高音(なんの音だっけ…と思ってたらたぶんFAXの音っぽい…)
心理学教授と話すストリップバー?の衣装や音楽の90年代っぽさも良い。激しくうるさいモンタージュ。
あとライティングがずっと変。真っ暗になったりネオンみたいなカラフルライトが差し込んだりを繰り返す会議室。大竹しのぶと西村雅彦の海のシーン、シャドウが真っ黒の人物ライティング。背景の海は異様にグレイッシュで不思議。このシーンがサブスクのサムネになってたけど一番突出しててかっこいいビジュアルだった。
…などなど細かいギミック盛り盛りなので、それだけで楽しい。

後半はホラーとして最高。家のシーンでは暗がりを生かしてどんどんテンポよく脅かしてくるし見せてくるものがいちいちこわい。内野聖陽の怯え顔が緊張感に拍車をかけてくる。
会社で襲われるシーンは痛い描写のオンパレード…からの演技合戦。完全にいっちゃってる大竹しのぶと極限状態の内野聖陽のおたけび。急におっぱい出してきて「乳しゃぶれ!」「下手くそ!」は笑った。おっぱい出す時の描写がポヨーンて感じでそこも急に異質。
電話の画面に映し出される祭の映像、金魚、月のような丸い影、などなど非現実的な描写も挟まれてくるので、夢か現実かわからない世界感の中で大竹しのぶもこの世のものとは思えない存在に進化していく。

24年前の内野聖陽、当たり前だけど若い。
イケメンなのに異様に地味に見えるのがすごい。話し方もボソボソ何言ってるのかわからない感じで、ずっとおどおどしていてどんよりした空気を纏っている。
でもそこが逆に色気に繋がっていて非常に魅力的であった…。リアルタイムで知っていたかった。
感情もかなり大きく動く役なので表現力がすごい。ホラーってやっぱり怖がってる役の怖がり方が一番大事だねえ。
Hachi

Hachi