吉田寛生

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序の吉田寛生のレビュー・感想・評価

4.0
今晩は。
熱いコンソメが焼酎湯割りの様に揺れる。
今宵の締めくくりにエヴァンゲリオン序のDVD。
TVアニメ当時ちょうど主人公の少年シンジ世代だった。
それはそれで夢中に観てたけど、あれから10年以上が経っても、だ。
宮崎駿の「最悪」発言ごもっとも、
確かに内容は「最悪」だと思う。でも僕はこの映画に吸い込まれる。
吸い込まれる。
今20代ぐらいの若者がきっと持っている、
葛藤と欲望と無力感が、共鳴する。暴れだす。
僕だけの想像か、
エヴァに描かれた10年前のやや極端な感情が、
今、確かに広がりながら、若者の中に潜伏している気がする。
おじさん世代と僕ら世代は、ただでさえ絆が希薄、
深く潜伏した若者感情は、誰にも語られることの無いままに。
いつか傷口からじわりと滲み出て、表出する。
その手触りや様相をイメージする。
創造であればいい。
だから、どうか暴力でないものを。暴力でないものを、と願う。

むしろ人類滅亡を目論む「使徒」のような脅威のなき日常こそ、
目標なき日常こそ、小さな一歩一歩に意味を持たせるべく、
生きることに意識的であらねばと。
そして疲れたなら堂々と無意識になって。
その繰り返しをうまく回す器用さこそが必要になってる。
あぁ少なくとも僕はやってみるよ。
無気力なのに気力演技力に長けた人種の一味として、ね。
吉田寛生

吉田寛生