SHOHEI

招かれざる客のSHOHEIのレビュー・感想・評価

招かれざる客(1967年製作の映画)
4.4
白人女性のジョーイはハワイで出会った黒人医師ジョンに惹かれて結婚を決意。ふたりはジョーイの両親に挨拶するためサンフランシスコを訪れる。彼女の母クリスティは異人種との結婚に初めは動揺をするもジョンの誠実な姿に胸を打たれる。メイドのティリーは同じ黒人なのにジョンを認めようとしない。そしてリベラリストを自認する父マットですら結婚に難色を示す。やがてジョンの両親も招いてのディナーが始まり…。

60年代、黒人の公民権運動が激化する中で作られた異人種間の結婚を描く社会派ドラマ。舞台はほぼ屋敷の中でのワンシチュエーションかつ会話劇だが登場人物たちの心の動きが面白くて引き込まれる。結婚に対してポジティブなマインドを持つ白人女性ジョーイと、これから置かれる立場を冷静に理解している黒人男性のジョン。結婚によって世間からからかわれたり、将来の子どもが差別を受ける可能性があるというのはやはり当事者にならなければ気づかない問題。素直に「ああ、そういう問題もあるよな」と感心した。これからの前途多難な運命を息子・娘に遭わせられないという両親の気持ちも理解できる。ネガティブな雰囲気が漂う中でクライマックス、ジョンの母が語る感情的な言葉がとても輝いて見える。その言葉に目線も合わせず聞き入るジョーイの父マットの姿がまた良い。決意を決めたマットは最後に名演説を披露する。忖度抜きで語られる正直な言葉の数々が実に気持ちいい。静かな幸福に包まれるエンディングシーンも物語の着地として最高。マットを演じるスペンサー・トレイシーの顔、どこかで見た顔と思ったら『カールじいさんの空飛ぶ家』。
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