にじのすけ

復讐するは我にありのにじのすけのレビュー・感想・評価

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)
3.6
(ネタばれあります)
これは・・・ちょっと救いようのない気分になる映画ですねえ。本作は実際に起こった事件をもとに書かれた小説を原作としています。主人公の榎津はなぜ、こんなにも犯罪を繰り返すのか。そして罪も恨みもない人を何人もの殺めるのか。原作にはそういう絶望的状況に追い込まれた榎津の過去のトラウマが描かれているようですが、映画のほうを見る限りでは、明確な答えは得られません。幼少期からの父親との確執が歪んだ形で現れたんですかね?うがった見方をすれば、カソリックという仮面をかぶった偽善的な父に対する心理的支配から死ぬまで抜けきれなかった榎津が、犯罪を重ねることで、彼にとっての倫理的規範(それは桎梏でもあるのですが)の象徴である父親に「俺はお前から自由なんだ。殺人だってできるんだ!」と叫び続けていた、とも見られなくもありません。榎津のその辺の心のひだが、もう少し描かれていると良かったのにな~、と思いました。
ただし豪華なキャスト陣がベストの仕事をしており、見応えは十分にある作品であることは保証します。
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