ゆず塩

ザ・エージェントのゆず塩のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・エージェント(1996年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

【あらすじ】
エリートのスポーツエージェントがジェリーは、孤独を抱えた男性。ある時仕事に疑問を持ち、会社に意見書を提出したことをきっかけにクビになってしまう。ひそかにジェリーに惹かれている会計係のドロシーは、会社を退職しジェリーについていく。
仕事と恋愛に挟まれたジェリーが、本当の愛を見つけるまでの話。

【感想】
一人の男の成長譚として、とてもベーシックな映画だと思った。
仕事と恋愛が目立つけど、問題の根幹はジェリーの抱える孤独感だったり一人が苦手な性分なのだと思って観ました。
お仕事モノを期待すると物足りなさを感じるだろうな。それを期待するなら『マネーボール』とかの方が良い気がする。『マネーボール』も主人公の成長譚でもあるんだけど。仕事面のサクセスの方が面白いかなー。

ただよく分からなかった点もありまして。
「友達としては最高だけど、それ以上は無い」みたなジェリーは……どういう人なのだ? と結局わからなかった。
プレイボーイなんだろうってことはわかるのですが、責任感がないわけじゃないよね? ドロシーに手を出したあとに、結婚はするから責任感はある。あの結婚に愛情があったかどうか、それが問題になってるけれど。そもそも手を出したときに愛情ってないのかな? セックスはするけど、そこには一時的な愛情しかなくて、結婚するほどの決心はない。ってことかな。
だからやっぱり、結婚時点までのジェリーはドロシーに対して一時的な欲情しかないのか。ドロシーと食事に行く時も、かなりカジュアルな服だし。大切に扱ってないのか。
ジェリーという人物を考えると、人間に対して愛情表現が苦手な人、ということかな。ハートがどこか欠けている人。

そんなジェリーに対して、ハートで生きているロッドがバディというか仕事のパートナーなんだろうね。
ただ、そのロッドもロッドで、仕事に対しては熱意がないようだけど。中途半端なCMは出たがらないし。ロッドのこの、仕事に熱心ではないという表現が今一つピンとこなかったかな。なんか、ただプライドが高い人、って気がしてた。謙虚さがない。ハートが無いからプライドが高くて謙虚ではない、と上手くつながらないような?
わたしの場合、ハートやプライドがあるからこそ「適当な仕事は断る」っていうイメージがあるんだろうね。
ロッドのアメフト選手としての評価も上手く分からなかったのかもなぁ。ジェリーがロッドを売り出すからロッドのこと褒めてて、すごい選手なのか平凡なのか不明。確かに世間的な評価も高くないけど、実際の実力はどうなのかよく分からず。ロッドの最後の活躍は、ハートでプレーしたからなんだろうけれど。なんだかあまりよく分からず。抽象的すぎるのかな。
試合とか、練習をさぼってて、となれば……仕事は適当なんだなってわかるのだが。ただ、スポーツ選手が仕事に手を抜いているっていう表現が難しそう。

一番好きなのは、ドロシーのお姉ちゃんかなー。ドロシーに色々と注意したり、結婚した後ジェリーに「泣かしたら殺す」とか言ってて。いいアクセントだなって思いました。
あと、この時期のトム・クルーズはプレイボーイって感じの印象だったんだろうねー。……今もそうなのか?

全体的にどんな話なのかがイメージしやすい映画でした。だから、自分の分からなかった所が言語化しやすかったな。「きっとこういう話なのだろう」っていうのは、理屈でわかるというか。「映画が変なのではなく、自分の見落としかもしれない」って考えられる(上から目線だな)。


●以下、作品の評価と関係ない事ですが。
色々と、ちょっと古い感じだなぁと思いながら見ました。
1996年の映画を2023年11月に見れば、そりゃそうなんだけど。
もちろん画質のせいもあるんだけど、演技の感情表現が古いような?漫画で言う絵柄が昔っぽい感じなのかな。
でも、古い映画でも演技に時代を感じない映画もある気がしていて。『ゴッドファーザー』とか、『シンドラーのリスト』もそうかな……? 自然な感情表現を目指そうとすると、時代感が出ないのかもなー、なんて思いました。
演技にも流行り廃りがあるのだろうか?
ゆず塩

ゆず塩