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天国と地獄のGONのレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
4.5
上手いッ!上手すぎるッ!!

黒澤作品は時代劇しか観てなかったから他のジャンルも観てみたんだけど、まさかサスペンス系でこんな大傑作を作り上げていたとは!いやこの映画はサスペンスなのか?人間ドラマと表した方が適切か。
『七人の侍』未鑑賞勢の僕が言うのもあれだけど、黒澤は時代劇以外の方が面白いのかもしれない!

この作品は人間ドラマの外側をサスペンスが包み込むように構成されてて、脚本がめっちゃ上手い。「犯人が誘拐した子供が主人公の息子じゃなかったら緊迫感薄くならねー?」なんて疑問が最初あったけど、その設定を上手く利用してキャラの心情の変化や関係性を巧みに操るとは恐るべし!
個人的に好きなのは物語の転換点となる特急こだまでの取引シーン。高速で走行する、車内の狭い列車の中で作戦を立てたり駆け引きをする一連の流れのテンポが恐ろしく、それでいてセリフの内容が簡潔なので置いていかれる事無く展開にグイグイ惹き込まれていった。今まで観てきたサスペンス映画の中でもトップクラスに心臓に悪いシーンだったぞ…

あとラストの犯人が吠えまくるシーンは現代でリメイクするなら絶対藤原竜也が適任だろうな。
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