テクニカラーのマッチョ

裏街のテクニカラーのマッチョのレビュー・感想・評価

裏街(1961年製作の映画)
3.6
ファニー・ハースト原作の3度目の映画化。
1作目「裏町」(スタール)が現代的価値観とはあまりにかけ離れたものにもかかわらず、強引に心を揺さぶる傑作なのに比べると、60年代当時のアメリカ的価値観に設定変更した本作は、スタールをリメイクするサーク再びと期待されていたに違いないけれど、ごくごく普通のメロドラマとなっている。だけれどスタールやサークのようにがっつり心して観ようという心構えが不要な分気楽に観れるのは良い。
1作目の貧乏ぐらしを受け入れて愛人がやって来るのを待つだけの辛気臭い女と違い、ハイブランドのデザイナーとしてバリバリ働いて成功したヒロイン故にキラキラでシャイニーでゴージャスな世界観でのメロドラマが展開される。そこにスタンリー・コルテス撮影の寒色の青と暖色のオレンジの色彩が配色されるのが魅力的。結果として年増女が年下ハンサム君とキラキラゴージャスの中で恋を繰り広げるというソープオペラ的な映画になってしまったのだけど、それはそれで下世話で楽しめる。
序盤のすれ違い、再会して相手が既婚と知ると離れるためにイタリアへ、だがそこでも再会してしまう、そのうえ奥さんは旦那を苦しめて喜ぶアル中だと知るいうのが、観客への不倫の言い訳になるし、メロドラマ的な盛り上がりにもなる。まあそれにしてもラストは意味わからん展開なんだが。
主演はスーザン・ヘイワード。この手のソープオペラ的メロドラマは彼女のような大女優が貫禄で引っ張っていく。
相手役は「悲しみは空の彼方に」「愛する時と死する時」のジョン・ギャヴィン。「悲しみは〜」「誰かが狙っている」「Quantez」などで年上女優の相手役を次々と務めた人だけに順当な配役。いかにもユニバーサルの男優って感じでハンサム。かっこいい〜。時の流れがわかりにくい映画なのだけど、ギャヴィンの髪に現れていく白髪がそれなりの年月を示していた。