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影武者のcinemaiquotのレビュー・感想・評価

影武者(1980年製作の映画)
4.0
冒頭の「三位一体」的な場面から、これから何が起こるかと惹かれる。
ただの盗人だったそっくりさんが、ただ一度会っただけの信玄への思慕で影武者を務めることになる。
信玄の亡骸が龜にこめられて霧の諏訪湖に沈められるシーンは、さながら雲に包まれたキリストの昇天を逆に行ったようで、その画面の崇高さに心打たれる。
神格化された信玄の亡き後、信玄がまだ生きているかのごとく影武者を務めなければならない盗人の立場は、カリスマを失ったあとの弟子の辛さにも似ていると思った。
最後まで一体影武者の最期はどうなるかと目をみはったが、どうにも黒澤明の意図を解しかねた。こちらの理解不足だろう。仲代達矢の演技には毎度のことながら脱帽。
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