スギノイチ

としごろのスギノイチのレビュー・感想・評価

としごろ(1973年製作の映画)
2.5
このタイトルで主題歌が山口百恵なのだからてっきり百恵ちゃん映画なのだとばかり思っていたが、クレジット的には和田アキ子が主演である。
※山口百恵はトータル10分ぐらいしか出ない超脇役だが、それでも存在感は抜けている。
他にも映画初主演となる森昌子、石川さゆりに加え、堺正章等が出演する。要はホリプロ映画だ。

和田アキ子の役柄は高校バレーのコーチという保護者枠であり、実質的な主役は森昌子。
主演が三重に分かり辛い映画だ。
といってもこの映画、森昌子すら主役と言い切れない所もあり、イマイチ誰が主役か最後までよく判らない。
複数のエピソードが並列的に消化されるのだが、その内容ときたら、レイプ・妊娠・不倫・淫行…
そのことごとくが無駄にスキャンダラスで重いのだ。

最もエグイのはまだ10代の石川さゆりの輪姦シーンである。
脈絡なく街のチンピラに輪姦されるのだが、すっぽんぽんで押さえつけられていて無駄にハードである。
さすがにヌードは吹き替えなんだろうが、いやに真に迫っている。しかも妊娠するのだ。
「妊娠してるようだわ、乳首が黒ずんでいたもの」なんて生々しい台詞があり、さゆりは自殺する。
憤怒の和田アキ子がチンピラに復讐しようとするも、返り討ちにされてしまうのも全くカタルシスが無い。
※石川さゆりのことは輪姦したのに和田アキ子は殴る蹴るで済ませてしまうとこに悪意を感じる
一応チンピラは警察に捕まったようだが、和田アキ子が追悼のブルースを歌ってメデタシな感じなのも後味悪し。

続いて始まるサイドストーリーは、スパルタコーチの女子高生への倒錯的指導というこれまたヘビーなもの。
しかも鬼コーチ役は森次晃嗣だ。『ウルトラマンレオ』を予見しているのか?
大体、森昌子がいるのにさらに似たような髪型の森次晃嗣を重要人物で出すとはどういうつもりなのか。
このエピソードも大人の醜い面を散々見せつけて、最後は森昌子の歌で何となく収集がつく。

映画のトリはそれまで碌に出てきてない堺正章が登場し、異常に長い歌唱シーンを披露して終わる。
凄い。ここまで事務所の力関係を隠しもしないなんて、ある意味今の時代ではできないだろう。
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