COZY922

50/50 フィフティ・フィフティのCOZY922のレビュー・感想・評価

4.1
これがカジノとか宝クジの話なら50/50は願ってもないレベルの高確率。だけど5年生存率となると話は別だ。50%、たった50%。どうしても気持ちが暗くなる。うなだれたり、うろたえたり、誰にもぶつけようのない怒りが込み上げてきたり、孤独感や死の恐怖に襲われたり・・。

若くして癌を宣告された主人公の、告知されてからの日々と身近な人々との日常。重い題材にもかかわらず、いい意味で軽いタッチ。内容が内容だけにシリアスな場面もあるけれど、湿度の高い重苦しさはない。

自分だったら多分、親はともかく、それ以外の人から過剰に心配されるのはいや。かと言って、病気のことを知っていながら無理やり話題を避け腫れ物に触るような接し方をされるのも『自分は相手に気を遣わせている』と感じて辛くなる気がする。考えたことが無かったけれど、死が現実味を帯びるほどの重病を患っている親しい友人への接し方ってとても難しい。

主人公アダムの親友(悪友) カイルが良かった!下品でムチャクチャなヤツだけどこのキャラが好き。『50%? 悪くないじゃん!ギャンブルなら最高だぜ!』の豪快でガサツな優しさと洗面所にあった本に見てとれる細やかさ。不意を突かれた温かさが意外なほど胸に響く。死に向き合わざるを得ない出来事が起きて、それまで気丈に振る舞っていたアダムが気持ちを爆発させるシーンも良かった。心の揺れ動きを演じ分けるジョセフ・ゴードン=レヴィットの困ったような笑顔は反則モノ!

泣かせようとしない作りがかえって、特別なことが何もないこのお話に 慈しみに満ちた温かい空気を吹き込んでいた。
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