ryutalos

恋の罪のryutalosのレビュー・感想・評価

恋の罪(2011年製作の映画)
3.6
女は魅力を持て余す。
だから自らの性欲に食われてしまうのね。
園子温は相変わらず共感を拒絶するけど、この人のエロと狂気はシュールでおかしみすらある、強いて言うならコミックなんだよね。 その違和感がなんかクセになるわけだけど。

狂った世界を「ねー、こいつら いっちゃってるよねー」って感じでぶつけられて、我々は笑うしかないんです。
変な状況ですよね。
限りなくアンリアルなのだけど、「誰もが心にこう言うモンスターを飼ってるよね?
平気な顔してるけど君もだろ?」 っていうことを突きつけられる。

「言葉なんか覚えるんじゃなかった」
ことばを覚えることで、自分の世界以外の世界にアクセスでき、世界は動き、そして君の涙の意味を知る。
ことばを覚えなければこんなに複雑な世界にならなかったのだろうか。
女の感情は、自分でも手なづけられない怪物だ、って話でした。

でもねー、女子高生の売春が問題になってた90年代後半のあの頃に乱立したマンガ(センチメントの季節とか)とかに比べると、心理描写は浅い浅い。
アート側にもホラー側にも尖れていなくてB級感っていうか、メインで描かれる売春のシーンと人物の背景の安っぽさが、なんかうまく描写しきれていないというか...
でもこの作品にそんな言及はナンセンスで、実はその題材はどうでも良くて、おかしなことを言うようだけどエンターテインメントとして素晴らしいんだよね。
私の愛すべきエンタメおじさん。
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