上酢下村

バッファロー’66の上酢下村のレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
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賭けに負けて負債を背負い、償いのためにボスの友人の罪を被ることになったビリー(ヴィンセント・ギャロ)が強引に誘拐したレイラ(クリスティン・リッチ)を都合よく利用し、故意に負けたアメフトチームの中心選手に復讐しにいく話。
これってラブストーリーなのだろうか?
というのも、レイラのストーリーは少しも触れられず(タップダンスをすることぐらい)、ビリーの不遇なストーリーばかり語られる。これでは、ビリーの横暴さや癇癪癖にエクスキューズを与えるばかりで、レイラの扱い方にも勝手な解釈がされてしまうのでは。
最大の疑問は、なぜレイラはビリーを好きになるのかだが、そこは全く描かれていない。本当に都合よくビリーを好きになってる。まぁ、理由なく相手を好きになるのかな(ロマンティックラブイデオロギー)。反対に、ビリーがレイラを好きになるのは理由が見つけられる。自分を好きだと言ってくれたから。これって結構重要。
印象に残ったのは、トイレで「生きられない」と咽ぶシーン。好ましくない人間でも、不器用ながら生きてるところを見せられると心が動いてしまう。
あとは、風呂からベッドへのシーン。演者が語ることなく、二人の関係が親密になるまでを上手く表している。
スローモーションやライトアップなど風変わりな撮影技法を多用し、色使いや場面の汚れ具合も印象的だった。
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