Angiii

バッファロー’66のAngiiiのレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
5.0
放尿に関してまでも神経質すぎる男は身も心も傷痕累々である。『いやだからそこら辺で野ションしろよ、』と思ってしまえばそこまで、我らはビリーことヴィンセント・ギャロたり得ずその逆もまた然り。

だからこそ成り立つようなこの映画、クリスティーナリッチの、天使のようなドールフェイスとあどけなさが残るボディと装い、そこからにじみ出る聖のような母性はご都合主義と捉えられることもあろうがビリーにとっては彼女こそが光、闇夜に上がる太陽だったのである。そして終始(父親と対照的な)プラトニックな関係は意外にもビリーの異常なまでの潔癖、排他的な人生やその生い立ちを引き立てることになり、モーテルでの強張ったビリーの寝姿から赤子のような抱擁までの流れを完璧に、また美しく仕立て上げている。そしてこれは決して万人に当てはまらないからこそ、我々には個人の範囲を超えない地獄があり、そして各々にしか理解し得ない救いがあるということを身に沁みて感じた。

人生今まででちょっといいなと思った人を知る過程のどこかで必ず目にした『Buffalo ‘66』、ビリーとレイラの在り方は必ず己と他の関係性のどこかで顔を出すだろうし、クソイケてるポスターが私の壁に並ぶ日もそう遠くない。(そして来世はヴィンセント・ギャロのような細マッチョになりたい、身も心もやつした男にしては服と髪をかきあげる動作が全部キマりすぎている)
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