めちゃん

千年女優のめちゃんのレビュー・感想・評価

千年女優(2001年製作の映画)
4.2
複雑で壮大なようで案外そうでもなくて、夢のなかみたいな混沌とした世界を描く監督だから、今作も「何かあるのでは!?」と思いながら観ていたけど、ただひたすら1人を死ぬまで想い続ける一途な女の子の恋物語だった。「私、行きます、どこまでも逢いに」は「私、生きます、どこまでも愛に」なんだろうな。今までの展開や視点が全て覆されるのが痛快。

【追記】リバイバル上映で再鑑賞してきた。まだ私が生まれていなくて本来なら映画館で見られるはずのなかった今敏作品を、順当にスクリーンで観れていることが本当にうれしい。もう何度も見ているはずなのに、立花の「いない男の影を探していた」という言葉でわけもわからず泣いてしまった。同時に、千代子の最後の台詞には漠然と恐怖を感じてしまった。彼女にとって女優として自分以外の誰かを演じて、常に自分以外の誰かに自分を支配されて、鍵の君を追いかけ続けることは人生そのものだったのだと分かった。世界は今敏という天才アニメーターの存在を一生忘れないで欲しい。
めちゃん

めちゃん