akrutm

フランス、幸せのメソッドのakrutmのレビュー・感想・評価

フランス、幸せのメソッド(2011年製作の映画)
3.3
ダンケルクの工場が閉鎖されて失業したシングルマザーのフランスは、家政婦として働きにパリへ出る。働き先はセレブなマンションで、住人は優秀な金融ディーラーで独身のステファン。この二人によってストーリーが進行していく、セドリック・クラピッシュ監督の10作品目の映画。

高い失業率による激しい貧困格差というフランスの抱える社会問題を背景としながらも、陽気で前向きな中年女性のフランスを主人公にすることで、それほど深刻にならずにユーモアも交えながら、気軽に見れる映画に仕上がっている。途中までは、『プリティ・ウーマン』を想起させるような展開(実際にプリティ・ウーマンの主題歌が流れたりする)に、ラブコメだと思って見ていると、実はそうではなく社会派ドラマであることが最後でわかる。そういう意味では、邦題は明らかにミスリーディング。こんな邦題しか付けられないなんて、あまりにもバカっぽい。

ラストシーンがちょっと中途半端なのは残念。主人公のフランスがああいう形でラストを迎えるところに、クラピッシュ監督のフランス社会に対するシニカルな態度が表れているのだとは思うが、観る側に投げっぱなしという感じがややしないでもなかった。
akrutm

akrutm