akrutmさんの映画レビュー・感想・評価

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五月のミル(1989年製作の映画)

3.9

革命の狂騒と、ブルジョワジーの甘美な停滞

◯ 二十数年を経て向けられた、ルイ・マルの「斜めの眼差し」
本作は、1968年のフランス全土を揺るがした五月革命(Mai 68)を背景に、片田舎の古びた屋敷
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明日また生きる(1970年製作の映画)

3.1

カメラ工場で働く妹とダンプカー運転手の兄の禁断の愛と悲劇を描いた、河辺和夫監督による異色の恋愛ドラマ。劇団俳優座映画放送部が製作し、松竹は配給のみを担当した。主演の栗原小巻と田中邦衛をはじめ、出演者の>>続きを読む

あの日のように抱きしめて(2014年製作の映画)

4.3

戦後間もないベルリンを舞台に、ナチスの強制収容所で顔に大怪我を負いながらも生還した妻と、変貌した妻に気付かない夫の愛の行方を描いた、クリスティアン・ペツォールト監督の心理ドラマ映画。主演のニーナ・ホス>>続きを読む

お嬢さん(1961年製作の映画)

4.0

ドライで自由奔放なお嬢さんがプレイボーイの男性と結婚し、嫉妬や妄想の末に平凡な奥さんへと成長する姿をファッショナブルに描いた、弓削太郎監督による都会派ロマンチック・コメディ。原作は、三島由紀夫が婦人雑>>続きを読む

私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

3.5

1973年に無差別殺人を犯して死刑に処された女性、オルガ・ヘプナロヴァーの半生を、当時の社会主義国チェコスロバキアの冷たさを感じさせるモノクロ映像で静かに描いた、チェコ映画学校の同期生トマーシュ・ヴァ>>続きを読む

白い風船(1995年製作の映画)

4.2

イラン暦の正月(春分の日の頃)の前夜のテヘランを舞台に、金魚を買うための500トマン札を無くしてしまった7歳の少女の小さな冒険を通じて、街角に息づく人々の人間模様や社会の縮図を鮮やかに切り取った、ジャ>>続きを読む

罪人たち(2025年製作の映画)

3.6

1930年代のジム・クロウ法時代のミシシッピを舞台に、故郷でジューク・ジョイントを開こうとした双子の黒人兄弟が、自分たちの文化と命を奪わんと食らいつくヴァンパイアと死闘を繰り広げる、ライアン・クーグラ>>続きを読む

まじめな仕事(2023年製作の映画)

3.8

経験ゼロの若い数学の臨時教師が、パリ郊外の中学校で個性豊かな教師仲間と一年間を共にしながら、教えることの重さ・喜び・過酷さを発見していく姿を描いた、トマ・リルティ監督のヒューマン・ドラマ映画。

医師
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ルノワール(2025年製作の映画)

3.7

1980年代の郊外を舞台に、末期がんの父と仕事で多忙な母の狭間で孤独な夏を過ごす11歳の少女フキが、大人たちの世界を覗き見ながら死や孤独に向き合って成長していくひと夏を描いた、早川千絵監督のドラマ映画>>続きを読む

Beating Hearts(英題)(2024年製作の映画)

4.4

フランス北部の荒廃した港町ダンケルクを舞台に、境遇が正反対の少年クロテールと少女ジャッキーが運命的な恋に落ち、犯罪・投獄・長年の別離を経てもなお燃え続ける狂おしい愛を描いた、ジル・ルルーシュ監督の長編>>続きを読む

Just the Two of Us(英題)(2023年製作の映画)

3.6

燃えるような恋の予感から始まった出会いがやがて逃れられない支配の檻へと変容していくという、精神的DVの構造を繊細かつ精密に描いた、ヴァレリー・ドンゼッリ監督による心理ドラマ映画。原作はフランスの作家エ>>続きを読む

ユニバーサル・ランゲージ(2024年製作の映画)

3.1

ペルシャ語とフランス語が公用語となり、街の景観や文化がイランとカナダのハイブリットになった架空のカナダ・ウィニペグを舞台に、複数のプロットがイラン映画への深いオマージュとともに交錯する、実験的映画を手>>続きを読む

君は行く先を知らない(2021年製作の映画)

4.7

沈黙と喧騒の間に、パナー・パナヒが描いた魂の亡命

国境へと向かう一台の車。そこには、二度と戻らぬ旅に出る長男と、彼を送り出す家族の、痛切なほど愛おしい時間が流れている。パナー・パナヒ監督の長編デビュ
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ファンファーレ!ふたつの音(2024年製作の映画)

3.4

骨髄移植という切実な生への希求を起点に、運命は正反対の二つの世界を引き合わせる。一人は、華やかな舞台でタクトを振る世界的指揮者の兄、ティボー。もう一人は、北フランスの寂れた炭鉱町で、閉鎖の危機に瀕する>>続きを読む

春の夜の出来事(1955年製作の映画)

3.4

子会社の懸賞に別名で当選した大会社の社長と、もう一人の当選者である純情な無職青年が、招待されたホテルで境遇を取り違えられたことで巻き起こる騒動を軽快に描いた、西河克己監督による人情喜劇。舞台は、赤倉観>>続きを読む

L'AMOUR C'EST MIEUX À DEUX(原題)(2010年製作の映画)

3.5

運命的な恋を夢見る男と、愛をゲームと割り切る男。パリを舞台に、対照的な親友コンビがそれぞれ出会った女性によって自分の固定観念を揺さぶられ、本当の愛の意味を問い直す姿を描いた、ドミニク・ファルジアとアル>>続きを読む

ガスパール/君と過ごした季節(とき)(1990年製作の映画)

3.5

仕事も家族も、そして社会との接点さえも失いかけた二人の孤独な男。彼らが道端に捨てられた一人の老女を「拾う」ことから、血縁を超えた「もうひとつの家族」を再生していくプロセスを、トニー・ガトリフ監督が独特>>続きを読む

ソフィアの夜明け(2009年製作の映画)

4.2

灰色の街に刻まれた、剥き出しの生と死

ポスト共産主義の深い閉塞感に沈むブルガリアの首都ソフィア。カメン・カレフ監督の長編デビュー作である本作は、自己破壊的な衝動を抱えた芸術家の兄イツォと、やり場のな
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Half Sister, Full Love(英題)(2015年製作の映画)

3.4

兄の死で落ち込む青年が、親友とその妹との週末を通して友情と恋愛の境界を探りながら、自分の心の傷と向き合う姿を描いた、マリオン・ヴェルヌー監督による恋愛ドラマ映画。

最愛の兄を亡くし、失意のどん底にい
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理想の出産(2011年製作の映画)

3.6

妊娠・出産という「幸せな出来事」が、実際には喜びだけでなく戸惑い・不安・葛藤を伴う人生の大転換であることを、リアルかつ辛辣に描いた、レミ・ブザンソン監督のドラマ映画。原作は、フランスの小説家エリエット>>続きを読む

サンドラの週末(2014年製作の映画)

4.1

1,000ユーロと引き換えに差し出される「尊厳」の行方

ジャン=ピエールとリュックのダルデンヌ兄弟による本作は、一人の女性が解雇を免れるために奔走する週末の2日間を描いた、あまりに鋭利な社会派ドラマ
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ジョイランド わたしの願い(2022年製作の映画)

4.5

パキスタン第二の都市ラホール。保守的な中流家庭の静かな均衡が、一人のトランスジェンダー女性との出会いによって波立ち、崩れていく。サーイム・サーディク監督の長編デビュー作である本作は、解放へと向かう夫と>>続きを読む

家族の波紋(2010年製作の映画)

4.2

ボランティアへ旅立つ息子を送り出すため静かな孤島に集まった一家が、美しい風景と静寂の中で、抑圧された不満と修復不能な断絶を静かに露呈させていく様子を描いた、ジョアンナ・ホッグ監督のドラマ映画。

特筆
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夏至物語(1992年製作の映画)

3.4

猛暑のアパートで恋人の帰りを待つ少女の、倦怠感に満ちた日常が狂気へと静かに変貌していく様子を瑞々しく描いた、岩井俊二監督の1992年版の短編ドラマ。

1980年代後半は、バブルによる好景気の影響もあ
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美しい夏(2023年製作の映画)

3.8

1938年のトリノを舞台に、田舎から出てきた16歳の少女ジーニアが、自由奔放なモデルであるアメーリアとの出会いを通じて、未知の世bボヘミアン的世界や性の現実に触れ、瑞々しくも残酷な大人の階段を上ってい>>続きを読む

蒲団(2024年製作の映画)

2.5

才能の限界を感じる中年脚本家が、弟子の若き女性への叶わぬ恋と激しい嫉妬に狂い、自身の醜態をさらけ出していく姿を描いた、山嵜晋平のドラマ映画。言わずと知れた私小説の金字塔と言われる田山花袋の『蒲団』が原>>続きを読む

花とアリス(2004年製作の映画)

4.0

記憶喪失という突飛な嘘から始まった奇妙な三角関係を通して、二人の少女の揺れ動く友情と、眩しいほどに瑞々しい成長の瞬間を、圧倒的な映像美で切り取った、岩井俊二監督の青春ドラマ映画。岩井俊二作品の映像美を>>続きを読む

四月物語(1998年製作の映画)

4.2

東京の大学に通うために北海道からひとりで上京した女子大生の、不安と期待が入り混じる春の日常を、岩井俊二特有の透明感溢れる映像美と繊細な心理描写で切り取った、極上の青春ドラマ映画。武蔵野大学に入学した主>>続きを読む

ガール・ウィズ・ニードル(2024年製作の映画)

3.6

第1次世界大戦後のデンマークを舞台に、戦後の社会的絶望と貧困の中で生き抜こうとする女性が、ある女性との出会いをきっかけに底知れぬ地獄へと堕ちていく姿を描いた、マグヌス・フォン・ホーン監督のサスペンス・>>続きを読む

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

2.5

ドイツ軍の暗号機エニグマを解読し、戦争終結を2年はやめたと言われる天才数学者アラン・チューリングの輝かしい功績と、性的マイノリティとして迫害された悲劇的な末路を描いた、モルテン・ティルドゥム監督による>>続きを読む

青いドレスの女(1995年製作の映画)

3.2

差別と陰謀渦巻く戦後のロサンゼルスで、失業中の黒人元兵士が、謎の白人女性の捜索を引き受けたことを機に、政治腐敗と血塗られた陰謀の渦中へと引きずり込まれていく様を描いた、カール・フランクリン監督のネオ・>>続きを読む

リー・ミラー 彼⼥の瞳が映す世界(2023年製作の映画)

2.8

20世紀を代表する女性報道写真家、リー・ミラー。その激動の半生を、撮影監督出身のエレン・クラスが長編デビュー作として映画化した本作は、一見すると、第二次世界大戦の最前線で数々の歴史的写真を撮影した女性>>続きを読む

パルテノペ ナポリの宝石(2024年製作の映画)

4.2

人魚の街に捧ぐ、美と知性の断章

ナポリ出身の鬼才パオロ・ソレンティーノが、最愛の故郷の魂を一人の女性の半生に投影した本作は、眩いばかりの美と知性が交錯する叙事詩である。

表面的に捉えれば、絶景の南
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サイレント・ラブ 秘めた想い(2023年製作の映画)

3.8

人種、宗教、階級が異なる二人の女性が、現代の分断・対立社会を乗り越えて愛し合うまでを描いた、シャミム・サリフ監督のレズビアン・ロマンス映画。

舞台は、カナダのマニトバ州にある保守的な農村。家族で経営
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大いなる不在(2023年製作の映画)

4.2

疎遠だった父親が認知症を発症したことをきっかけに、残された大量の手紙・メモや知人から聞く話などを通じて、失踪した義母の謎を追いながら、父親を見つめ直していく息子の姿を静かな筆致で描いた、近浦啓監督のヒ>>続きを読む

みんな誰かの愛しい人(2004年製作の映画)

3.4

傲慢な天才作家の父に認められたい娘ロリータと、その人脈を利用しようとする大人たちの滑稽で残酷な人間模様を、鋭い観察眼とユーモアで描いた、アニエス・ジャウィ監督の群像劇ドラマ。脚本はもちろん、私生活でパ>>続きを読む