ホワイトデビル

レイク・マンゴー 〜アリス・パーマーの最期の3日間〜のホワイトデビルのレビュー・感想・評価

4.5
モキュメンタリー、フェイクドキュメンタリーと呼ばれるスタイルの映画だ。
ある家族の長女がレイク・マンゴーという湖(ダム)で泳いでいたところ行方不明になってしまうが……というイントロから始まる作品。
関係者のインタビューや過去の映像や風景等で構成されており、いわゆるファウンド・フッテージとは異なる形である。

この手の作品はどうも変化球だったり、我慢した後のピークが用意されているものが多いが、本作はじっくりといく。
役者の演技が上手く、かつ堂に入った構成でグイグイ引き込んでいく。

本作の魅力を挙げるならいかが思いつく。
ミステリーとしても見ごたえのあるストーリーテリング。
黒沢清をはじめとするJホラーに劣らぬ心霊写真的ホラー演出。
家族も知らない被害者の側面と、不可解さによる底知れぬ怖さ。
ツイストの効いた展開。
そして鑑賞後に残る、孤独感とさみしさ。
 
日本の『放送禁止』にも近い構造を持つが、記載した通りひたすらに怖い心霊描写(ショックに頼っていない勝負の仕方も良い)、
そして人間の行動と心の不可解さによる濃密なドラマ。
 
本編は日本では劇場未公開のビデオスルー作品だが、確かに劇場で勝負できる表面的な派手さはなく、地味に映る。
だからと言って見逃されるには惜しい傑作ホラー/ミステリーだ。

ちなみに、日本のレビューサイトではいまいちな点数だが、北米のレビューサイトロッテントマトでは非常に高い評価を集めていることも記載しておく。