Ark

ジェシー・ジェームズの暗殺のArkのレビュー・感想・評価

4.3
2023-10
ジェームズ兄弟は14年間で25件以上の強盗と、17件の殺人を犯した、有名な無法者。彼らに憧れる者は多く、ボブもその1人だった。仲間に入れてほしいとジェシーに頼み一員になるが、憧れはいつしか形を変え、ジェシーを殺すタイミングを窺うようになる。
アメリカ史上最も有名な無法者として実在したジェシー・ジェームズが、部下の手によって殺されるまでを描いた物語。

ケイシー・アフレックが好きな人は必見だと思う!(ただし、長いだけでなくとても静かで、口ではあまり語らないタイプの映画なのでかなり人を選みます)


ネタバレあり↓


ボブは他の若者と同じようにジェシーを英雄視し、憧れていた。
しかしジェシーによって仲間が殺されていき、ボブはいつ自分も殺されるか分からない恐怖の中で過ごすようになる。
ジェシーを殺すことで、悪者を殺したヒーローとして喝采を浴びられると思っていたが、逆に脅迫状が送られるほど世間に恨まれてしまう。ボブはずっと周りにからかわれてきたため、自分もジェシーのように人から英雄視される人間になりたかったのだ。

ボブの若さと野心の中で滾る憧れを超えた羨望の眼差し。ジェシーの名声の中に隠れた恐怖と孤独感。
ヒーローになれるはずだったボブは世間に冷たい目で見られ恨まれる。殺されたジェシーはダークヒーローとして国民の記憶に残り、死してもなお崇められる。なんと皮肉なんだろう。

ジェシーはアメリカで有名な無法者。容赦なく殺して盗む。犯罪者だが逮捕されず、庶民からは富裕層を脅かす存在として英雄視されていた。だから世間は彼の死を悼み、ボブを恨んだ。

考察を見ると、ジェシーは孤独だが、ボブには案じてくれる兄チャーリーがおり羨ましかったから、自分は殺されることで名声を保ったまま永遠のダークヒーローになれるし、死ぬ事も出来る……という計算の上で死を受けいれたのでは?とあり、非常に納得した。

ケイシー・アフレックの演技が良い!何かを憂いているような目が素敵。目が口ほどにボブの感情を物語っている。一方で、何を考えているのか分からないミステリアスさもある。
この時30歳くらいだと思うけど全然そうは見えなくてビックリ!もっと若く見える。目の色綺麗。

ブラッド・ピットの“そこに居るだけでなんか怖い存在”の演技が上手い。2人きりになると殺されるのではないかという恐怖や不安感がある。今すぐ銃で撃ってくるのではないかという恐怖。こうして見ると、演技の影響もあるけどブラッド・ピットって意外と目つきが鋭い。

ウッドを殺した後、家にジェシーが訪ねてきたときの地獄のように張り詰めた空気がすごい。無理して明るく振舞ってる演技がリアルで印象に残ってる。
あと、ジェシー関連のコレクションを見られた時のボブの表情も。

なんでか分からないけど、サム・ロックウェルの兄ちゃん感がすごい(笑)弟想いのお兄ちゃん素敵。
同時にケイシー・アフレックの末っ子感がすごい。

あまり出番なかったけどジェレミー・レナーもいた。雪山に裸で捨てられるの寒そうすぎて……。
彼のことはとても心配だけど、ここでは触れないでおきます。
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