うめ

緋色の街/スカーレット・ストリートのうめのレビュー・感想・評価

3.7
 フリッツ・ラングがアメリカに亡命した後に制作した作品。ドイツで制作した「スピオーネ」や「M」、「怪人マブゼ博士」と比べると、それほど凝った演出はなくシンプルだが、所々にラングらしい狂気じみた演出がされているのが良かった。また、フィルムノアールとしての雰囲気が全体的に感じられたのも良かった。
 現在観ると何てことのない設定にストーリーだが、現在の映画にもしばしば使われているであろう設定(妻から相手にされない夫、手を組んでクリスを騙すカップルなど)やその絡み合い、展開がこの時代(1945年)に出来上がっているのだなぁと思った。また当時の人々がどのように観たのかが気になった。
 フリッツ・ラングにしては少し物足りなさを感じない訳ではないが、丁寧に作り込まれているため、観ていて飽きることはない作品だ。
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