朧気sumire

キャタピラーの朧気sumireのレビュー・感想・評価

キャタピラー(2010年製作の映画)
3.4
両手足を失った芋虫のような姿で戦争から戻り軍神様として村民達から祭り上げられる久蔵と、久蔵の世話をする妻のシゲ子がメイン。
あらすじ見てもしやと思ったが、江戸川乱歩の短編小説「芋虫」をオマージュして作られたらしい。

実際見てみると反戦映画というより乱歩の芋虫と同じく至って普遍的な男と女の話という感じだった。
生身の身体障害者を名誉の戦傷だとか言って神様と崇めるわりにその介護は妻に丸任せという歪んだ「自己責任」を感じさせる話、妻が軍装姿の夫を外に出して半ば見世物にするシーン、加害者としての一面もある夫の設定とか随所で反戦的であるけども。

四肢を失い感覚機能も覚束ないなか食欲、性欲と原始的な欲望を満たすことしか無い生活。
そんな閉じられた世界で無惨な姿の夫と共に過ごすシゲ子役の寺島しのぶの演技が凄かった。凄すぎて「凄い」という言葉しか浮かばない。自身の語彙力の無さに残念。
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