メタルナー

仁義の墓場のメタルナーのレビュー・感想・評価

仁義の墓場(1975年製作の映画)
4.2
まさにタイトル通り、任侠的なかっこよさは1ミリも無い。地に足つかない半端者を渡哲也が演じていて、旧世代のヤクザ者が好きな自分としては嫌悪を覚えた。渡哲也、あかんな。しかし、そんな言葉が浮かんだのも束の間、後半につれて高まる狂気にうっとりしてしまった。

火夫と共にレコの骨を拾う慇懃な姿にはなぜか男の可愛げがあるし、その後俯きながら、死んだレコの骨をかじった後に見上げた顔には死者との境界がすれすれかと思える美しい顔があった。なんだこの顔は、渡哲也すげえな…。

深作欣二の破滅の美学がこれほど生かされるテーマは他になく、監督作の中でも頂点に位置するかも知れない。
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