キュラソー

ヒッチ・ハイカーのキュラソーのレビュー・感想・評価

ヒッチ・ハイカー(1953年製作の映画)
3.9
あらゆる設定が映画として存分に活かされている。凶悪なヒッチ・ハイカーとそれに巻き込まれた男2人との、車外での距離を置いた対峙と、それを切り取る構図の見事さ。距離があるからこそ生じる、投げることによる物の受け渡しの小気味良さ。ヒッチ・ハイカーの恐ろしさを印象付けるのと同時に思わぬサスペンスを生み出す麻痺した右目。

距離を置く彼らを画面に収めるには構図の選択や役者などの配置も含めて周到な準備が必要となるだろうが、それを恐れずに場面ごとに車を停車させてから全員が車を降りるまで毎回省略せずに映してしまうのは、冒頭に見られる省略の美学とは対極にある凄まじさだ。
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