JIZE

サタニック -悪魔に呼ばれて-のJIZEのレビュー・感想・評価

2.1
賛:若者4人組の物腰の"軽さ"が良くも悪くもストーリーを絶望的に掻き回しており最初から最後までで事態がドンドン最悪になる若者の焦燥感と好奇心が同居する心境がリアルに描かれている。序盤でビル上空の人影が終盤でああいう形で繋がってしまうのも秀逸でありお見事です。野外フェスに向かう道中に興味本位で立ち寄った惨劇の現場で呪縛の洗礼を受ける絶対に遭遇したくないシチュエーションだ。

否:悪魔の根源を説明するロジックがほぼゼロに近しい。例えればテレビ番組の奇跡体験アンビリーバボーの衝撃100連発を2SPで再現映像を交えて観てる感覚。犠牲者が出たり仲間同士の熱い友情が不可逆なものに連なっていく感じなどエモーショナル自体は高まるがシナリオに厚みがない。終盤の廃墟ビルで仲間が刻一刻と無条件で消滅しだすくだりは酷い話運びだった。掴みの入口はいいが内容がペラペラ。

本作は脚本にローバジェット映画の傑作『クリスティ(2014年)』のアンソニー・ジャスウィンスキーが関わっている経緯から鑑賞したが、ほぼ彼の処女作に近い理由もあってか少数部隊における閉鎖空間を活かしたサスペンスの醍醐味がない。また本作に至っては単純に"パンドラの箱を開けた人間たちが呪縛の餌食となる"だけなので何かの機転を描かないと。総じて若者側が一方的にボコられる系のため奥行きや起源そのものの深みが否めない一品でした。
※鑑賞後にジャケ写の悲惨さを改めて痛感します。
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