カイト

ベンジャミン・バトン 数奇な人生のカイトのレビュー・感想・評価

4.4
ベンジャミンが残した日記とハガキが語られることで構成されていて、人生において大切なものを気づかせてくれるところが気に入っている。日記から物語が展開されていることで出来事が重なり単調になっているのに加えて、日記の途中で消した跡があったりページが無くなっていたりとベンジャミンの主観が強調されている。しかし、合間で現実シーン(デイジーの語り)が出ていることで単調さと作品の主観の行き過ぎが抑えられ、出来事のアウトラインを際立たせ、ベンジャミンとそれを取り巻く人生の解像度を上げているところに魅力を感じる。また、ベンジャミンは老人の体で生まれ、大人になってから経験することを若くから経験しているのに対し、デイジーは人並みの経験をしており価値観に大きな差がある。しかし、人生の中間を迎える40代に歳も経験も差が縮まり、互いの想いが重なるという普通の人生には起こり得ないシナリオにも心が惹かれる。
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