ねぇ素晴らしい

エンティティー/霊体のねぇ素晴らしいのレビュー・感想・評価

エンティティー/霊体(1982年製作の映画)
3.7
『ローズマリーの赤ちゃん』型の揺らぎを少し規模を広げて描く。夢だけど夢ではない、理解され難い感覚を分析と差異づけによる型はめによらず、あるがままの形で初めて共有・記録できた時の喜びが切実。しかし冒頭を見るに精神科医による解釈もある程度の説得力を持ち、リアリスト側の力なしでは彼女は死んでいたこと、より魅力的にパラノイアを撮影・表現しようとする協力者側の未熟さを同時に描くことでオープンになっている。
多用されるダッチアングルはラヴクラフト的なななめの世界観を彼女の精神状態の言い換えとして映画に落とし込んでいるように見える。水平線を坂に合わせて逆に家が斜めっているようにみせる帰宅のショットが良い。ちょっと長いし、話はあまり面白くないけど。