ソニア・ヘニーのハリウッド映画5作目（本人役は除く）。タイロン・パワーと2度目の共演。
新作映画のヒロイン役を探して雪国の田舎教師に白羽の矢が立つ。宣伝マンが駆け出しスターの宣伝にヒロインとの恋愛を思いつき、代わりにラブレターやプレゼントを送るが、もちろん本人がヒロインに惚れているというというお話。
1939年は「風と共に去りぬ」が公開された年！スカーレット・オハラ役探しをネタにした映画なのだけど、姿を現さず声だけのボスはセルズニックがモデルらしく「後でメモを送る」と必ず言うのが面白い。セルズニックはメモ魔として知られる。しかしフィギュアスケート・ミュージカルで何故その題材を。
とはいえもちろんヘニーのスケートが見どころ。夢想のスケートシーンはパートナーと滑る様子がアイスダンス風で面白い。まだアイスダンスは競技としては存在しない時代みたい。なんで教師が映画スターになるんだよ！というとこは置いといて、お話もそれなりに面白いし、ルディ・ヴァリーが楽譜型のステージで歌う場面も良いし、出ているだけで嬉しいエドナ・メイ・オリバーの存在感。そのうえタイロン・パワーが美しくてね。歌まで歌うタイロン・パワー。意外と良い歌声ではないですか。
あからさまに大根女優のヘニーが演じるヒロインの演技力が称賛されるという皮肉。彼女はジャンプは一回転だけだけど、素人目で見てもスピンが素晴らしい（ただし美しいポーズではない）。今の選手の方が技術は上かもしれないけれど、規定があった時代の人なので、通用する部分もあるんじゃないかな。数少ないフィギュアスケートミュージカルのスター、そしてその女王として積極的に観たい。
ハリウッドにおけるフィギュアスケートミュージカルの人はベリータ「狂恋の果て」（ノワール・フィギュアスケート・ミュージカル！）、キャロル・ヘイズ「白雪姫と道化者」くらいかな？リパブリックのスター、エスター・ラルストンにもフィギュアスケートミュージカルがあるようだけど…。